松本清張記念館

http://www.kid.ne.jp/seicho/html/index.html

先日、情報ネットワーク法学会で北九州市へ行った際、見学することができました。以前から、マスコミで紹介されている記事を読んだりして、行きたいと思っていたので念願がかないました。
松本清張の作品をそれほど読んだわけではないのですが、中学生か高校生の時に、「半生の記」

半生の記

半生の記

が夏休みの課題図書になっていて、松本清張が世に出るまでの地味で明日が見えにくい日々を、あまりおもしろいとも思わず読んだことがありました。今振り返ると、学校の先生は、松本清張のような人物にもこうした日々があったのだということを生徒に知らしめて、どういう境遇にあっても希望を捨てず前向きに生きることの必要性、重要性を認識してもらいたかったのだと思います。この年になると、そういう親心がよくわかりますが、当時の自分にはわかっていませんでした。ただ、松本清張の半生は印象に残りました。
その後、何冊か清張作品を読んで、人間を見つめる厳しく、それでいて優しいまなざしのようなものを感じ、苦労して身についてきたものがこうして結実しているのだろうという印象を強く持ってきました。なかなか読めてはいませんが、好きな作家の一人で、記念館で執筆の場であった書斎や書庫が再現されているのも見て、松本清張の息吹が感じられるようで、来て見て良かったとじみじみと感じました。その勢いで「友の会」にも入会する手続をしたので、今後は気合いを入れて清張作品を読み重ねたいと考えています。とりあえず、今は、通しで読めていなかった「波の塔」を、かつての新任検事時代の自分をうっすらと思い出しながら読んでいるところです。

波の塔(上)

波の塔(上)

波の塔(下)

波の塔(下)