http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150805/k10010179591000.html
阿川さんはみずからの海軍での体験や豊富な資料を基に、激動の昭和を生きた人々の苦悩や悲哀を浮き彫りにする作品を書き続けました。戦艦「長門」が戦後、アメリカの核実験で太平洋に沈められるまでの姿を克明に描いた「軍艦長門の生涯」など、綿密な取材に基づく格調高い文体の作品が評価され、平成11年には文化勲章を受章しています。
私も、若い頃に阿川作品は割と読んだほうで、「軍艦長門の生涯」は特に好きな作品の1つでした。長門が、ビキニ環礁で核実験の標的艦となってその生涯を終えるにあたり、なかなか沈まず、それを知った当時の人々が、英霊が支えているのだろうとささやきあった話も作品中で紹介されていたのが、今でも心に残っています。戦後の日本を支えてくれてきた、戦陣に散り戦火に倒れた人々は、今の日本をどのように見ているのでしょうか。最近は阿川氏の肉声をテレビ等で聞く機会がありませんでしたが、今後もどこかで日本や世界の姿を見守ってくれていることでしょう。ご冥福をお祈りします。