http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015021902000119.html
金子順一裁判長は、検索結果で示される各サイトの内容を抜粋した部分(スニペット)は「ヤフーの意思で表示された」と認めた。その上で、男性の名誉を損なう表示だが、逮捕から長い期間が過ぎていないことなどから「記事への社会的関心は高く、公共の利害に関わる」として、違法性は否定した。
判決は、ヤフー側の「機械的、自動的に表示しただけで自らの表現行為ではない」との主張を退けており、名誉毀損やプライバシーの侵害などで、検索サイトの責任を認める可能性を示した。
金子裁判長は、表示方法について「アドレスのみにとどめるか、サイト内容の一部も表示するかなどを決め、システムを採用したのはヤフーだ」と指摘。スニペット部分の性格を「サイトの特定というだけでなく、記載に即した事実があるとの印象を広く閲覧者に与える」と判断した。
この問題を考えるにあたっては、検索結果の表示そのものに着眼することと、上記のような「抜粋」部分に着眼するという、大別して2つの方法があると思うのですが、後者のほうが、従来の名誉毀損に関する考え方をあてはめやすい面があるのではないかと思います。
表示自体は機械的、自動的に表示されても、そのようなシステムを設定、運営しているのが人の意思に基づくものであれば、それはその人の表現行為と見られるというのは、ごく常識的な判断でしょう。こういった考え方が定着すれば、少なくとも、上記のような抜粋部分については、内容に応じて削除が認められやすくなるのではないかと思われます。今後のこの問題を考える上で、重要な裁判例になる可能性があると思います。