まんだらけ、万引犯の「顔写真」公開断念 弁護士の見解は?

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/152565

漫画「鉄人28号」のブリキ製おもちゃ(25万円)を「万引した」人物に対し、「返却しなければ顔写真をHPに公開する」と警告していた古物商「まんだらけ」(東京・中野)。予定期限を迎えた13日未明、HPで「警視庁の要請により顔写真の全面公開は中止させて頂きます」と発表した。

元検事の落合洋司弁護士がこう言う。
「司法手続きではなく、個人が実力で権利回復を果たす『自救行為』は厳格な範囲で適用されるもの。今回のようなケースは、確実に犯人と決まったワケでもなく、強要罪などに当たる可能性のほか、名誉毀損や肖像権侵害の問題もあります。被害救済のために<やむを得ない><盗まれ損>との意見もありますが、やはり警察などに動いてもらうべきでしょう。公開された人物が思いがけない行動を取ることも予想され、刑事、民事両面で余計なトラブルを抱えることにもつながりかねません」

法治国家において、社会秩序の維持を私人が行うようであっては「法治」が根底から崩壊しかねず、適法な手段によるのであればともかく、目的が正当なものであっても、違法な、あるいは適法性に問題がある手段で権利回復を図ることは正当化できません。ただ、上記のように、自救行為として違法性が阻却される(否定される)こともまったくないわけではありませんが、それは、例えば、盗んだ物を持って逃走する犯人を追いかけてタックルして停止させ盗品を取り返すような、必要性、緊急性、相当性が肯定できる、限定された範囲内でのことだと私は思いますし、おそらく、そういう考え方が現在の日本におけるスタンダードな考え方ではないかと思います。そういう観点で見た場合、まんだらけが行っていた警告行為や、中止はしたものの行おうとしていたことは、現行の法秩序で許された枠を越える可能性がかなりあったのではないかと感じています。
警察も、ここまで騒ぎが大きくなった以上、ありがちな、おざなりの捜査でお茶を濁すわけに行かず、本腰を入れて捜査し事件を解決することが大きく期待されていると思います。