【オウム裁判】「事件に関わった者の責務」とは何か

http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20140130-00032118/?fb_action_ids=580678005355319&fb_action_types=og.recommends&fb_source=other_multiline&action_object_map=%5B406993482768847%5D&action_type_map=%5B%22og.recommends%22%5D&action_ref_map=%5B%5D

事件当時、Mは井上嘉浩幹部(死刑囚)の部下だった。井上に命じられ、もう一名と共に、教団が偽造した運転免許を使って車2台をレンタル。最初は乗用車を運転して、東京都杉並区の井上らのアジトから現場まで向かい、その後ワゴン車に乗り換えて、拉致現場から東京・世田谷の芦花公園前路上まで仮谷さんや拉致の実行犯らを運んだ。その後、車を洗ったり内部を拭いたりして指紋などの証拠を消す作業をしたが、レンタカーの申込書に残っていた指紋から、警察がMと特定。それが報道されると、教団は彼の指紋を消す手術を行って、捜査を免れようとした。

井上からは、「言われたことだけやって、後は気にするな」と言われ、「私に言わないことは、聞いてはいけないこと思っていた」。なので、指示の目的などが分からなくても「あえて聞かないようにしていました」。あの教団内では、きわめてありがちなことだ。

仮谷さん事件は、警視庁刑事部東京地検刑事部が捜査を担当していたので、公安部にいた私は捜査に関わっていませんが、このMは、その後、公安部関係の何かの事件の関係で(事件のことはもう忘れましたが)私が取調べを担当したことがあり、その当時のことも、まだうっすらと記憶の中で蘇ってきます。今、どういう人になっているのかはわかりませんが、平成7年当時ですから、まだ若く、礼儀正しい、はきはきとした感じの受け答えだった印象が残っています。
私は、末端から中堅クラスのオウム真理教信者を相当数取調べたので、その中で、言われたことだけをやっていた、余計なことは知るべきではないと言われていた、といった話は随分と聞かされました。それで、はい、そうですか、では済ませられないので、根掘り葉掘り聞いていたものでしたが、確かに、全貌を知らされないまま歯車のように与えられた「ワーク」としてやっていた、という信者は多かったと思います。
当時、このMは大きく報道されたもので、服役を終え、今はひっそりと生活しているようですが、こうして、また法廷へ出て、平成7年当時の犯罪について証言を求められている、当時は新進気鋭の検事だった私はしがない弁護士になりネットでそのニュースを読んでいる、ということに、時の流れや風化しない、できないもの、といったことを感じます。