「一刻も早く親元に」元園長の証言、判決で一蹴

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130917-00000588-yom-soci

判決によると、日和(ひより)幼稚園(宮城県石巻市)には元々、海側へ向かう第2便と、内陸方面の第3便の送迎ルートがあった。しかし事故当時、両便の園児は同じバスに乗り、海側に住む7人が降ろされた後、残った第3便の園児5人が死亡した。震災前から現場の判断で、2便と3便の一本化が始まっていた。しかし、保護者に対する説明はなかった。
これとは別に、園児18人を乗せて海側に向かった送迎バスは、運転手がラジオで津波警報が出ていることを聞き、園へ引き返して無事だった。「園の対応の悪さが引き起こした人災では」。遺族たちは園側への不信感を募らせていった。

判決文を読んでいないので、あくまで報道による印象論ですが、積極的な作為を求める方向での注意義務、ということになると、確かに、あれだけの巨大津波を予想するのは一般人には困難である以上、過失を肯定するのは難しいのではないかと思います。しかし、本件のように、高台にある幼稚園であれば、その場にとどまることで(積極的な作為がなくても)巨大津波から園児は守れたもので、しかも、津波が来ることは情報として流れており、幼稚園のマニュアルではこうした災害時にはやってきた保護者に園児を引き渡すことになっていた、ということであれば、情報収集もせずマニュアルにも反して、わざわざ危険な海へ向かってバスを走らせた判断に、注意義務違反を肯定するのがむしろ自然かつ合理的、と言えるように思います。
とはいえ、亡くなった方々が戻ってくるものではなく、勝訴で良かったと祝う気にもなれず、せめてもの供養にはなるかもしれませんが、空しさを感じずにはいられません。今後の教訓としてこの悲劇をできるだけ生かしてほしいと思うばかりです。