日本刑法学会第91回大会(中央大学多摩キャンパス)

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昨日、今日の2日間、中央大学多摩キャンパスで開催されましたが、私は、木曜日から、南紀白浜でのサイバー犯罪シンポジウムに参加していて昨日午後に帰京したので、今日だけ参加しました。中央大学多摩キャンパスへ行くのは、昭和58年2月に法学部を受験して以来、その後、行った記憶がないので、丸30年ぶりで、当時の大きな希望を胸に抱いた18歳の青年が、今や、しょぼくれた、しがない弁護士になっていることに、時の大きな流れをしみじみと感じました。
今日は、午前中、4つの研究報告がありましたが、その中で、特に興味を感じたのは、

「『一連の行為』の行為論的基礎付け」(早稲田大学・仲道祐樹氏)

でした。人は、犯罪構成要件を念頭に置いて犯罪行為に及ぶわけではありませんし、犯行計画を立てていても予想外の出来事が発生することもあり、でこぼこ、ぎくしゃくした行為の連鎖の、どこまでを一体のものとして捉えどこで切るか(そして、それに対応する故意をどのように評価するか)ということは、よく問題になります。そういった問題への基準を見出そうとする上記の研究報告は、主観を重視する方法論には実務家として賛同しがたいものを感じましたが、チャレンジングで興味深いと感じました。
午後はワークショップが開催され、私は、元裁判官で弁護士の木谷明先生による「裁判員制度について…審理及び評議のあり方を中心として」に参加しました。現職で裁判員裁判を手掛けている裁判官2名もゲストとして参加し、裁判員裁判における興味深い実情がいろいろと紹介されていて、実務的であるだけに、私にとっては参考になり考えさせられるものが多くありました。
中央大学法学部を受験した時から30年が経過し、大きな成功をおさめることは遂にできず、しがない弁護士として細々と生きていますが、こうしてかつては大学受験で訪れた場に法律家の端くれとして訪れ刑法学会大会に参加することができたことに、何とも言えない感慨を覚えました。