日本刑法学会第89回大会(法政大学)

今日、明日と開催されていますが、今日は午後から参加しています。数年前に、東大の山口厚先生に推薦人になっていただき入会したもので、しがない弁護士ながら、できるだけ参加して勉強したいという気持ちは、今に至るまで変わっていません。今後も、この世界から引退するまで、この気持ちは変わらないでしょう。気持ちだけでなく、地道に勉強を積み重ねたいものです。
法政大学、というと、市ケ谷、というイメージですが、今回の会場は多摩キャンパスです。都内から、車で来ましたが、1時間半程度かかり、環境は抜群に良いものの、かなりの山奥で、ここに通っている学生、教職員の人々は、かなり負担が大きそうだと思いました。
午後からの参加のため、分科会の中の、「裁判員事件の審理方法」というテーマの分科会に、今、出ているところです。従来の、職業裁判官のみによる裁判から、裁判というもの自体に馴染みが薄い一般の国民の方々も裁判に参加するため、従来、専門家同士の内輪でやっていたことが通用しなくなっている点が多々あって、そういった問題点について、具体的な議論が進められていて、今後、裁判員裁判に関わる可能性がある私自身にとっても、かなり参考になるものがあります。
従来の捜査では、将来の公判に備え書面を多数作成していましたが、特に裁判員裁判が予定される事件では、書面を作っても使えない、使われないということになりやすいでしょう。今後は、書面よりも、裁判員裁判において必要があれば提出して裁判員が見て聞いてわかりやすい、録画録音媒体という形で証拠化しておくということを、捜査機関としても、もっと積極的に検討しなければならないのではないかと思います。取調室には、必要があれば、すぐに録画録音がスタートできる機器を準備しておき、調書よりは録画録音、ということを常識にするのが、今後の方向性になるべきでしょう。
そうなれば、従来の、怒鳴る、脅す、利益誘導する、といった密室型の取調べは通用しなくなり、知性や機転を駆使した、深みのある説得力、話術といったことが、取調べには要求されることになります。新たな時代における、それに応じた能力を、取調官は身につけなければならず、そのための勉強、研修といったことも、ますます必要になるでしょう。