http://www.j-cast.com/2013/01/23162439.html?p=all
内閣記者会は1月22日、首相と官房長官宛に7人の氏名や年齢の公表を求める申入書を提出した。同会は首相や官房長官を中心とする首相官邸の動きを主な取材対象とし、全国紙やブロック紙、各テレビ局が加盟する記者クラブの一つである。
その内閣記者会は公表を求める理由として①事件への国民の関心が高いこと②政府が公的に安否確認を行っていること③政府が情報収集、救出、帰国支援に全面的に関与していること――を挙げている。加えて2004年4月と10月にイラクで起きた人質事件の際、当時の政府は日本人被害者の名前を公表している、と指摘した。
犠牲者の近い親族の意思によって、公表するかどうかは決められるべきでしょうね。公表されることで、犠牲者の親族のプライバシーや、静かに亡くなった家族を偲びたいという気持ち、環境は大きく損なわれることになる可能性が高いでしょう。その一方で、そうしたデメリットはあっても、非業の死を遂げた人について広く知ってもらいたい、悲惨さを人々にアピールしたい、だから実名公表を臨む、という人もいると思います。人それぞれ、考え方がありますから、その意思を尊重すべきだと思います。犠牲になった方々は、公人ではなく、それぞれが純然たる個人ですから、それぞれのご遺族の意思がまずは尊重されるべきでしょう。
国民の関心が高いからといって、犠牲者について実名報道が必要、ということにはなりませんし、国が関与すれば、個人の犠牲がにわかに公的なものになる、というものでもないでしょう。過去の先例があるから、といっても、先例としての意味、価値があるかどうかが問われるべきです。上記の内閣記者会の申入は、単に「ネタをくれ」ということにもっともらしい(もっともらしくもないのですが)理屈をつけているだけで、何ら説得力はないと思います。事故、事件や災害が起きると、メディアスクラムで、被害者やその関係者を皆で追いかけまわし悲しい思いをさせ苦しめてきたツケが、国民の厳しい目となってはねかえってきている、ということでしょう。