マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

http://eiga.com/movie/57446/

隙間時間を使って、観てきました。
(以下、ネタバレに一応注意)
サッチャー元首相といえば、現職当時は、絶大な力を振るい大きな影響力を持ったものでしたが、この映画では、そういった「公」の姿と、家族とともに過ごす「私」の姿が、バランスよく紹介されていて、「私」の部分には疎かった私には、サッチャー元首相の姿が、より立体的に理解できるように思われました。IRAによる爆弾テロで同僚政治家を失ったり、自らも九死に一生を得るといったシーンもあって、今となってはIRAのテロも昔話になっていますが、当時の英国では、大きな脅威であったことが思い出されました。また、フォークランド紛争における英国の迅速な対応、フォークランド諸島奪還が、サッチャー首相の強力なリーダーシップによるものであったことが描かれていて、こういった強く正しいリーダーを持てないまま迷走する日本に住む私にとって、うらやましくもありました。
あれだけ活躍し大きな業績を上げたサッチャー元首相が、病を得て、現実と幻想の間を漂い人生の黄昏を迎えている姿には、人の哀しさ、老いることは誰にも平等にやってくるもの、といったことを考えさせられました。
主演のメリル・ストリープが、我々が知っているサッチャー元首相の姿を、話し方も含めた組みに演じ切っていて、アカデミー賞主演女優賞受賞に納得できるものがありました。
観て損はない、観る価値のある、よくできた作品と感じました。