- 作者: 藤本正行
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2010/10/06
- メディア: 新書
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昨年、購入後にざっと目を通して、
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20101031#1288497782
とコメントしましたが、きっちりと読んでいなかったので、最初から最後まで通読しました。
著者には、織田信長に関する著書が複数あり、信長公記を中心に据えて実証的に考える姿勢に、個人的には共感を覚える点が多いのですが、本書でも、信頼できる史料に基づいて合理的に考える、という姿勢は貫かれています。本能寺の変に関する、各種の黒幕説を排し、明智光秀による計画性も否定して、通説通り、あくまで明智光秀単独による謀反であったと論じられています。いろいろな史料が紹介されていて、中でも、斉藤利三(明智光秀の重臣で春日局の父親)の三男である利宗(徳川幕府の旗本になった)が、江戸期になって語ったとされる話は、通説に沿うものですが、明智光秀が重臣達に謀反を打ち明ける場面などにリアリティーが強く感じられ、おそらく、この辺が真実に近かったのではないかと思われました。
本能寺の変について、これから何か読みたい、という人は、本書あたりから読み始め、異説についても読んでみる、という読み方が良いかもしれません。