右翼は言論の敵か

右翼は言論の敵か (ちくま新書)

右翼は言論の敵か (ちくま新書)

昨年末、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20091214#1260752047

でも少し触れましたが、その後も、少しずつ読んでいて、やっと読了しました。新書ですが、かなり濃密な内容で、読み応えがありました。
戦後の右翼運動の中で、「新右翼」と分類されているものが、戦前の国家改革運動からのつながりの中で生まれ、三島由紀夫の決起(盾の会事件)で大きく触発されたことや、何を考え何を目指しているか、といったことがわかりやすく書かれていて、戦後の右翼運動、特に新右翼についての入門書(にしてはレベルが高いものの)としても読めるように思いました。
以前から本ブログでもコメントしているように、政治活動、言論の自由は最大限尊重しつつも、こういった主義、主張で行動し、時には一線を越える可能性を秘めた集団、人々に対処するということは、国家の機能として欠くべからざるものであり、検察庁でも、特捜偏重、公安退潮という傾向が、近年、顕著ですが、いつか来る(来ないに越したことはありませんが)「その時」に備え、日頃から地道に勉強し公安事件に取り組める人材の育成ということをやっておくべきでしょう。
今は、一見、その種の事件は起きず、平穏に推移しているように見えますが、将来的には、例えば、現在問題になっているような経済格差(戦前の国会改革運動や各種テロ事件を生み出したものは正にその点でした)が、世の混乱を招き、かつてのような大衆運動、街頭運動等が頻発する騒然とした状況にならないとも限らないと私は考えています。治にいて乱を忘れず、という心がけは、やはり必要でしょう。