地検の全検事参加・弁護士会は精鋭で…新作戦

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100216-00000070-yom-soci

都市部の地検ではこれまで、一部の検事がほぼ専従して裁判員裁判を担当してきた。最高検によると、今後はこれを転換し、来年3月までに、都市部の地検の副部長以上や地方の検事正、次席検事を除く全員(約1000人)に、裁判員裁判対象事件の捜査から公判前整理手続き、公判までをできるだけ担当させる。
大型経済事件や汚職の摘発を担う東京、大阪、名古屋各地検の特捜部や、公安、交通両部に所属する検事も対象で、最高検では、「これから幹部になる検事が裁判員裁判を全く経験していないのでは困る。件数の増加に対応するためにも、全検事が経験する必要があると判断した」としている。
一方、最高裁による裁判員経験者らへのアンケートなどで、裁判員へのアピール度で検察側に後れを取る結果が出ている弁護士サイド。高い技術を持つ弁護士を裁判員裁判の国選弁護人につけ、対抗しようという動きが広がっている。

検事の場合、任官時に一定以上のレベルにないと任官できない上、任官後も、刑事司法の専門家としての様々な教育、訓練を受けつつ多数の刑事事件を取り扱いますから、一部の例外はありますが、自ずと一定以上のレベルは維持され、そうであるからこそ、上記の記事にあるように、幅広く裁判員裁判を担当させるといったことができると言えるでしょう。
それに対し、弁護士の場合、検事よりも圧倒的に数が多い上、玉石混交状態で、しかも、刑事事件についての習熟度も人によりバラバラで、そういった状態であるにもかかわらず、知識、経験を問わずに一律に裁判員裁判を担当させるようなことをやれば、大変なことになるのは目に見えていると言えるでしょう。必然的に、一定以上のレベルにある弁護士を選りすぐり裁判員裁判を担当してもらうということにならざるを得ません。
私の考えとしては、以前から繰り返し言っているように、全国に公設弁護人事務所を設置して、そこに刑事弁護に習熟した弁護士を集中させて、裁判員裁判についても主要な担い手になるのが望ましいと考えていますが、今後、徐々にそういった方向で進まないと、特に裁判員裁判にはとても対応しきれない、ということになりそうです(既にそうなりつつありますが)。