法曹養成で文科省と検討会設置へ 千葉法相、政治主導で

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100106/trl1001060130000-n1.htm

法科大学院は16年に開設、修了者対象の新司法試験も18年から実施されている。だが、学校数(74校)、総定員(約5800人)が想定を大幅に上回る一方で、合格率は初年度の48%から年々下がり、21年は27・6%、合格者数も21年は2043人と初めて前年(2065人)を下回るなど低迷。教育の質が問題となり、志願者数が減る悪影響も出ている。
この間、文部科学相の諮問機関・中央教育審議会法科大学院特別委員会は、入学定員の削減や試験・修了認定の厳格化などを求め、日本弁護士連合会は、政府の増員計画のスローダウンを提言している。

大きな論点としては、

1 合格者を、毎年、どの程度出すべきか
2 法曹養成制度を現状のままにしておくべきか

ということがあり、そもそも、

3 法曹養成について誰が責任を持つべきか

ということも検討の必要があるでしょう。

1については、私の考えとしては、3000名体制を目指しつつ、法律扶助制度の大幅強化など、公費を思い切って投入し、貧困者、困窮者であっても司法制度を使いやすくして、そこに、増えた法曹が大きく参入するようにすべきではないかと思っています。つぶれかけた航空会社に投入するお金の数分の1でも投入すれば、航空会社がつぶれなくて困らなくなる人の数倍、十数倍の人々が救済されることになるでしょう。
2については、3とも関連しますが、私は、法曹養成について責任を持つべきは、法曹養成について長年のノウハウも持つ司法研修所であり、司法研修所を中核として、現在の法曹養成制度は大幅に刷新されるべきではないかと考えています。第一次的には、全国の高裁・高検所在地(8か所)に、東京を本部、その他を支部として司法研修所を設置し、旧制度のように司法修習を実施する、という方法が望ましいと思いますが、それが難しければ、現行の法科大学院司法研修所の指揮監督下に置いて、法科大学院から司法研修所へと続く、一貫した教育、法曹養成体制を構築することは必須でしょう。法律学の研究がやりたい人は文部科学省系統の制度下でやりたい研究を思い切りやればよく、法曹養成は、そういったものとは切り離して、司法研修所の完全なコントロール下に置くべきと考えます(その場合でも各法科大学院の自主性や創意工夫は尊重されるべきとは思いますが)。
そうした体制の下で、司法研修所が求める教育水準を達成、維持できない法科大学院については、司法研修所が引導を渡し、廃止されたり既存の法学部に吸収されたりすることで、5年から10年の間に、徐々に定員も適正化され、現在、問題になっている合格率の低さ(かつての司法試験を知る者としては低いとは思えませんがそれはともかく)も、徐々に適正化されて行くのではないかと思います。