骨の奥、矜持抱えて 映画「沈まぬ太陽」主演・渡辺謙

http://www.asahi.com/showbiz/movie/TKY200910300269.html

恩地は国民航空のエリート社員。労組委員長の時、経営側と正論で渡り合ったため、10年も海外で冷や飯を食わされる。東京に戻った恩地を待っていたのは、史上最悪のジャンボ機墜落事故だった。

恩地は理想を求めて不遇を嘆かず、30年にわたり、会社の収益至上主義と闘い続ける。しかし「彼は決して信念の人ではない」と渡辺は言う。「もう辞めたいと思ったことが何度もあったはず。彼を押しとどめたのは表面的なプライドではない。悩み苦しみをそぎ落とし、それでも骨の奥に残った矜持(きょうじ)です」
今、未曽有の不況が覆い、企業は生き残りを賭けて利益至上主義に一斉に走り出している。「何のために企業が存在するのか、その理想に立ち返る時に来ている。僕らは、自分たちが抱えてきた『負』の部分をきちんとテーブルに上げるような作品を作っていかないといけない」

先日、この映画を早速観てきて、近く、再度観る予定ですが、渡辺謙なくしては存在し得ないと言っても過言ではない映画になっているな、というのが率直な感想でしたね。
最近は、欲得、計算ずくで、より有利なほうへ、さっさと進んで行く人が多く、それはそれで間違っているわけではありませんが、渡辺謙演じる恩地のような、所属する組織を愛し、同僚、家族を愛し、欲得、計算とは無縁なまま愚直に生きて行く、その姿は、最近、日本でいなくなったタイプであり、それだけに新鮮さを感じ、考えさせられるものがあります。
私の中では、この映画の中で、再生へ向けて苦闘する国民航空の姿と、現実の世界で再生を賭けた正念場にいる日本航空の姿が、どうしてもだぶって見えてしまいます。