裁判革命:現場はいま/4 法テラス 容疑者国選弁護、10倍に

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090505ddm041040028000c.html

裁判員制度が始まる今月21日、捜査段階で容疑者の国選弁護が可能な事件が大きく拡大する。従来は殺人など重大事件だけが対象で08年度は7411件。窃盗や傷害事件にも適用され、年間の対象事件数は10倍になると見込まれる。

大阪市の「法テラス大阪」の真野淳副所長(49)の悩みは、国選弁護の受任要請を拒否する弁護士が後を絶たないことだ。契約する弁護士から指名するが、「荷が重い」「拘置場所が遠い」と尻込みされる。都合が悪いと言われれば、別の弁護士を探すしかない。時間的余裕はない。
容疑者国選弁護を担当すれば、通常は拘置期間の20日間、付き合わなければならない。スケジュール調整の難しさは理解できる。だが、「『誰かが受任するだろう』と、たらい回ししていてはダメだ」と思う。対策に苦慮する日々だ。

いよいよ被疑者国選の対象事件が拡大されますが、弁護士の数が多い東京等の都会はともかく、弁護士数が少ない地域で、どこまで回せるかが当面の課題になるでしょう。ただ回せば良いのではなく、適切な刑事弁護活動を行う必要がありますが、知識だけでなく経験がないと、難しい局面でどういう動きをすべきかわからないということも多々あり、国選を担当する登録後間がない弁護士に対しては、一種のメンターのような制度を作り、適切なアドバイスが受けられるようにしないと、全国で不適切弁護が爆発的に増えるということにもなりかねないでしょう。
私が、身柄事件の弁護を依頼された場合、まず行うのは、接見日程の確保で、移動できる予定は移動させ、取消・延期できる予定(飲み会など)は適宜変更して、間を空けずに接見できる状態をまず確保するようにしています。警察の場合は日曜日でも接見できますから、日曜日に接見へ行くこともあって、身柄事件、特に起訴前の身柄事件を抱えると、生活にも制約が出てくるのは確かで、上記の記事にあるように「尻ごみ」する弁護士も出てくるでしょう。
裁判員制度も間もなく始まり、刑事弁護としても、しばらくは正念場の状態が続くことになりそうです。