青森県弁護士会には、裁判員裁判を担当できる弁護士の名簿がある。県内約100人のうち、記載されているのは若手中心の52人。もともと刑事事件の担い手が74人と限られている上、制度への反対や負担感から裁判員裁判を避ける人は少なくない。
一方の青森地検は、着々と制度に適応しつつある。
幹部から事務官までをそろえたリハーサルはもちろん、判決後の検証も毎回欠かさない。最近では秋田地検の検事を法廷にたたせるなど、他地検との経験共有にも余念がない。
私は、以前からブログ等で言っているのですが、日本でも、裁判員裁判制度が導入され国選弁護も徐々に対象が拡大される状況の下、外国で既に導入されているような公設弁護人事務所を日本各地に設けて、そこに専門の弁護士が所属し、公的刑事弁護の中核として活動する、ということを、本格的に検討する必要があると考えています。裁判員裁判、特にその中でも否認事件など弁護人に多大な労力がかかる事件や、捜査段階から慎重、綿密な活動が必要な国選弁護事件などは、そうした公設弁護人事務所が担う、とすることで、現状よりも、むしろ公費や節約でき(公設弁護人事務所所属の弁護士には、裁判官、検察官に準じた給与を支給すれば、事件ごとに支払うよりも合理的でしょう)、効果的な弁護活動が期待できると思います。
現状では、特に、青森のような(青森だけではありませんが)、弁護士の数が多くない地域では、今後、刑事弁護でカバーする範囲が拡大すれば、ますます負担が増え厳しい状況になるのは確実で、検察庁と弁護士会の対応に差が出すぎて、真に公正な刑事司法の実現が困難になってしまう恐れすらあります。
弁護士が増えて掃いて捨てるほどいるから良い、で済ますのではなく、専門性の高い弁護士が中核となる適正な制度、仕組み作り、ということも、日弁連は検討、提唱すべきでしょう。