JR福知山線事故の本質―企業の社会的責任を科学から捉える

JR福知山線事故の本質―企業の社会的責任を科学から捉える

JR福知山線事故の本質―企業の社会的責任を科学から捉える

一昨年に出版されたもので、「積ん読」状態でしたが、最近、福知山線事故に関するニュースに接する機会が多く、たまたま書棚を眺めていたところ、この本が目にとまったので読みました。
事故の被害者で重傷を負った女性の体験談と、事故発生原因に関する科学的分析の二本立ての内容ですが、私にとっては、むしろ前者の印象のほうが強烈で、時速100キロを超える速度で走行中の電車が転覆、脱線するすさまじさ、乗客に与える深刻な衝撃、運良く生き残っても衝撃が身体、精神に及ぼす深刻な傷害、後遺症といったことが生々しく感じられました。
今後、刑事責任についても検察庁の判断が大詰めを迎えることになりますが、刑事の過失責任を考える上で、求められる予見可能性のハードルはかなり高く、JR西日本としても、おそらく組織の総力をあげて抵抗しているものと推測され、被害者、遺族等の関係者にとっても、出口が見えない重苦しい日々が続きそうです。