漁師の死亡 民事判決で「他殺と推認」、県警は「自殺」

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200901160038.html

判決などによると、男性の遺体は06年11月2日、宇和島市沖で、両足首にいかり(約10キロ)のついたロープが結ばれた状態で見つかった。死因は冷たい海水につかったことによる心原性ショックだった。捜査した県警は07年2月に「自殺の可能性が高い」と遺族に説明。農協は災害特約に基づく保険金の2500万円を支払わなかった。
小崎裁判官は判決で、海流などから考えて遺体の発見場所が不自然で、足に結ばれていたいかりが本人のものではなく、海上で見つかった男性の船には魚が残されていた点などを指摘。「自殺と推認するのは合理性、相当性を欠く」と判断した。

単に自殺するのであれば、わざわざ両足首にいかりのついたロープを結びつけるといった手の込んだことをする必要は見出しにくいでしょうね。浮いてこないよう、他者が結びつける、という経緯のほうが考えやすいということは言えそうです。警察は、遺体の状態以外の諸々の事情についても調べているはずであり、自殺という結論を出すのであれば、その理由があるはずですが、民事裁判では、その理由をきちんと検証するといったことは、おそらく行われなかったのでしょう。捜査というものは公益的な性格を持つものですから、警察による捜査結果が、民事上の紛争でも参考にできるような形で情報として使えるものにならないと、本来はいけないように思います、英米で行われているような検死官、検視審問のような制度を、日本でも本格的に導入する必要性を感じさせる事件です。