少年被告、成育歴など制限せず提示を 日弁連、最高裁に意見書

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090108AT1G0703507012009.html

昨年11月に公表された最高裁司法研修所の研究報告は、裁判員裁判で少年被告に刑事罰を科すか、保護処分とするかを判断するのに、詳細な成育歴などは必要ないと指摘。裁判員裁判の原則である法廷での「口頭主義」に基づき、家庭裁判所の調査官が作成する数百ページに及ぶこともある調査記録全体を証拠採用せず、調査官の意見部分だけで十分とした。
これに対し、日弁連は「証拠の厳選という名のもとに、少年の成育歴などの証拠が制限されてはならない」と批判。

少年法では、

第55条
裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのか相当であると認めるときは、決定をもつて、事件を家庭裁判所に移送しなければならない。

と定められていて、裁判員裁判で、この規定に基づいて家庭裁判所に事件を移送するかどうかが問題になるケースも、今後、出てくるでしょう。家庭裁判所調査官は少年の処遇に関する専門家ですが、その意見部分だけを裁判員の判断材料にしてしまうと、その内容に大きく左右される可能性があって妥当ではない、というのが、おそらく日弁連としての意見ではないかと思われます。
刑事罰を科すか、保護処分にするかによって、少年にとっては処遇にかなりの差が出てきますから、この問題は、一見、目立たないものの、かなり重要なものを含むのではないかという印象を受けます。