父殺害で起訴の息子に殺人未遂罪適用 「誤想防衛」認定

http://www.asahi.com/national/update/0920/OSK200809190126.html

被告は包丁で父親の頭を刺したが、死亡との因果関係ははっきりしないと認定。また、部屋に入ろうとした父親の頭を鉄製のテーブルの脚で何度も殴った行為は、父に殺されると思い込んだことによる「誤想防衛」だとした。

誤想防衛、すなわち、正当防衛が行える状況にはないのに、行える状況と誤信した、ということになると、犯罪の故意がない、ということになり、故意犯(本件では殺人未遂罪)については無罪になるのが筋でしょう。そうはならず、懲役3年という、実刑とはいえこの種事件としては長期とは言えない刑が宣告されているところを見ると、誤想過剰防衛(誤想防衛であると同時に、攻撃内容が、誤想した急迫不正の侵害に対するものとして過剰であった)が認定されたのではないか、と記事を読んで思いましたが、実際はどうなのでしょうか。

追記:

コメント欄のご指摘(ありがとうございます)と、先日、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080913#1221309224

とコメントした最高裁判例から見て、

1 部屋に入ろうとした父親の頭を鉄製テーブルの殴った行為
2 包丁で父親の頭を刺した行為

という一連の暴行(流れから見ておそらく1が先行)を一体として見ず、別個の行為と捉えた上で、1は誤想防衛(犯罪不成立)、2は少なくとも過剰防衛(誤想過剰防衛、あるいは単なる攻撃行為と判断された可能性あり)であるが死亡結果との因果関係まで認められない、2により懲役3年(実刑)とされた可能性が比較的高いかもしれません。