テレビ電話で被告と通話システム試行 東京の3弁護士会

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080328-00000961-san-soci

これまでは、被告と接見するため、弁護士が東京拘置所まで出向かなければならなかった。来年5月までに始まる裁判員制度では集中審理が行われるため、弁護士と被告の連絡を密にする必要があり、3弁護士会は「これで連絡がしやすくなる」としている。ただ、会話は周囲と隔絶された部屋で行われるものではないため、刑事訴訟法で定める「秘密接見交通」には当たらず、主に事務的な連絡に使われる。

現在、公判前整理手続中で、3月11日に

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080311#1205233298

でコメントしたように保釈になった事件で、被告人と何回接見したか数えてみたところ、昨年9月から昨年末までが33回、今年に入り保釈になるまでが19回の、合計52回でした。年末は御用納めの12月28日に「接見納め」をして、年始は御用始めの1月4日に「接見始め」をしています。計算すると、概ね1週間に2回程度のペースで接見していたことになります。
その中には、裁判所へ身柄が押送された際に裁判所の地下で接見したものも、ごく一部、含まれていますが、そのほとんどは東京拘置所でのもので、昨年9月以降、東京拘置所にはよく通いました。
昔、検察庁にいた頃、あるオウム真理教の信者の取調べを担当していて、途中まで完全否認で、自白に転じた後も取調べ事項が多岐にわたっていたため、勾留中の20日間、一日も欠かさず、身柄が留置されている警察署へ通い、その後、任意性の証人で呼ばれた際に、裁判官から取調べ回数について聞かれたのでそのことを証言すると、かなり驚かれたことがありましたが(警察送致事件における普通の「検事調べ」はもっと少ないでしょう)、昨年9月以降、せっせと東京拘置所へ通いながら、昔も今もやっていることはあまり変わらないな、と何度か思いました。
首都圏以外にお住まいの方はよくわからないかもしれませんが、東京拘置所がある葛飾区小菅へ行くには、裁判所がある霞が関から、地下鉄日比谷線を使い徒歩も含め約40分から45分ほどかかるので(霞が関・小菅間を往復するだけで1時間半ほどかかることになります)、便利とは到底言えません。
上記の記事にあるようなシステムが導入されれば、確かに便利にはなりますが、やはり、直接会って話さないと打ち合わせになりにくいことは多く、東京の場合、もう当面無理ですが(最近、建物が新築されたため)、裁判所の近くに拘置所が存在する、というのが理想でしょう。
また、徐々に改善の兆しは見えますが、「人質司法」状態を解消し、被疑者、被告人と弁護人の打ち合わせがしやすいような環境を作ることも重要であると思います。