覚せい剤所持の札幌中央署巡査部長 薬物担当係も経験

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/61806.html

容疑者が「二年前から覚せい剤を使用していた」と供述していることから、道警は同容疑者が、札幌東署の薬物担当時代に覚せい剤に手を出し、勤務中に使用していた可能性も含めて捜査している。

薬物捜査を担当している捜査員が、捜索へ行った際、複数発見した薬物の一部を密かにくすねても、それが発覚する可能性は極めて低いでしょう。被疑者、被告人側から、「あるべきはずの薬物がない」という話が出ることは、稀にありますが、自分の罪を重くするような話はしないのが普通です。捜査の中で、頻繁ではないにしても、そういったことが起きているのではないか、ということは、この種事件についてある程度経験がある関係者であれば、感じているでしょう。
なぜ、そのようなことが起きるか、については、捜査員が自分自身で使用する、あるいは、譲渡する、といった目的のほか、恐ろしいことですが、くすねた薬物をストックしておいて、捜索へ行って目指す薬物が見つからない場合にこっそり紛れ込ませて発見を装う、などの、各種偽装工作のためにくすねている、という可能性も否定できないでしょう。実際に、無実の人間を犯罪者に仕立て上げるために、警察官が、薬物をその者の所持品に紛れ込ませ、それが発覚した、という事件も過去に発生しています。
「白紙調書」を使って裁判官を騙し捜索差押許可状を取り、捜索の際に、くすねてストックしておいた薬物をこっそり紛れ込ませて発見を装い、無知な検察官や裁判官を騙せば、無実の人間を有罪にする、ということも十分可能です。荒唐無稽な話、と笑って済ませられないところに、恐ろしさがあります。

「白紙調書」が生まれる背景
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050722#1121963831

裁判官、検察官、あまり刑事事件をやらない弁護士に、この種の薬物事件捜査の恐ろしさに鈍感な人が時々見受けられますが、何が起きるかわからない世界であり、被疑者、被告人が言っている、一見、「あり得ない」話も、「あり得る」ことかもしれない、という感覚で聞いてみる、ということは、状況にもよりますが必要ではないか、と思います。