映画「夕凪の街 桜の国」

http://www.yunagi-sakura.jp/

先日、観てきましたが、結論から言うと、観るに値する、良質の映画でした。
映画の中で出てくる、いわゆる「原爆スラム」は、私が小学生の頃には、まだ残っていて、その風景は今でも思い出すことができます。現在は、その場所に高層の市営アパートが建ち並び、周辺もきれいに整備されていますが、映画では、当時の風景が巧みに再現され(実際はもっとみすぼらしい建物が建ち並んでいたという印象ですが)、広島も随分変わったな、ということを改めて感じました。

http://www.arch-hiroshima.net/a-map/hiroshima/motomachi.html

で、当時から現在への変遷が紹介されています(映画の原作も紹介されています)。
ネタバレになるので、具体的なことは言いませんが、映画の中で描かれている被爆者の苦しみ、苦悩、辛い人生、といったことは、広島で生まれ育った者であれば、決して他人事ではなく、日常の中に常に存在していたものだと思います。私が子供の頃、市内電車に乗ると、かなり目立つ火傷(被爆による)の跡が顔や腕などに残っている人を見ることがよくありましたが、親からは、原爆で被害を受けた気の毒な人だからじろじろ見てはいけない、と厳しく注意されたものでした。
私の父方の祖父も母方の祖父も、原爆投下後に広島市内へ入ったりして、おそらく放射能の影響もあって、戦後、早くに死去していますが、映画に出てくる藤村志保演じる女性(夫を原爆で亡くし自らも被爆して、戦後、苦難の人生を送る)が、夫を早くに亡くした母方の祖母(私が小学生の頃に、苦労がたたったのか、60歳過ぎくらいで早くに亡くなりました)と、優しい感じが似ていて、映画を観ながら、優しかった祖母のことが思い出されました。
原爆を描いた映画やドラマ等の作品は数多くありますが、その中でも、かなり優れた部類に入る作品であると思います。