米国:NY州、ダフ屋容認 法律を現状に合わせ

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070610ddm041040177000c.html

日本における取り締まりの今後を考える上でも、参考になるニュースです。

これまでは、ダフ屋がチケットを再販売する場合、大型施設のチケットは額面の145%、観客席が6000席以下の施設では額面の120%以下でしか販売できなかった。同州は再販売価格を自由に設定できるようにした。1日、州法に署名したスピッツァー知事は「価格は政府ではなく、市場が決定する」と語った。

こうした動きは全米で加速しており、ミネソタイリノイ、フロリダの各州も同様の法改正を済ませている。

日本では、迷惑防止条例によるダフ屋規制があり取り締まりが行われていますが、処罰を根拠づける「迷惑」が、誰のどのような迷惑なのかが、次第に変容し、本来の立法趣旨から逸脱しつつあるという側面も指摘できるでしょう。
本来は、公共の場所においてチケット等を買い占める、あるいは売りつける、といった行為(そういった行為の多くは一般人ではなく暴力団関係者により行われる)が取り締まりの対象でしたが、最近は、インターネットが普及することで、「販売」は主としてインターネットを通じて行われ(そして、それは「公共の場所」での行為ではない、とするのが一般的な解釈)、取り締まりの対象になるのは、多くが「購入」行為になっています。そして、購入も、以前のように、窓口に並んで買う(だからこそ買い占めると迷惑)といった態様ではなく、コンビニの店頭で機械を操作して購入する、といった行為になっているのが実態です。そのような行為が、誰にとってのどのような迷惑か、ということは、改めて十分検討される必要があるでしょう。
そういった検討が十分行われないと、本来、迷惑防止条例による処罰を根拠づけるものではない、発売者側の価格維持、統制といったものを保護することにもなりかねませんし、上記の記事にあるような、「価格は政府ではなく、市場が決定する」という行き方に逆行することにもなりかねません。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070530#1180455817

の記事のように、単に「素人ダフ屋が荒稼ぎ」などと騒ぐだけではなく、規制や取り締まりの在り方に目を向ける必要を感じます。