<児童ポルノ>米が日本に罰則強化要求 「単純所持も犯罪」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070610-00000016-mai-pol

児童買春・児童ポルノ禁止法は、他人への販売や提供目的で画像を所持すると処罰されるが、収集目的の「単純所持」は罪に問われない。主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)のメンバーで、単純所持が合法なのは日本とロシアだけ。
関係者によると、米政府高官が4月から5月にかけて、外務省幹部ら政府関係者や自民党の有力議員に面会した。この中で、米捜査当局がこれまでに摘発した児童ポルノ事件で、画像購入記録に数百人の日本人が含まれていることに言及。日本の現行法で単純所持を禁止していないことが、米国での児童ポルノ画像の生産にもつながっている事情を説明した。
そのうえで、参院選後にも予定される同法の見直し論議で、米国同様に単純所持の禁止を実現するよう働きかけたという。米政府高官はさらに政府・与党に対し、プロバイダー(ネット接続業者)などがネット上の児童ポルノ画像を見つけた場合には、米国のように関係機関への通報を義務付けることも促した。

今後は、単純所持についても処罰の対象にする、という方向で物事が進みそうですね。児童ポルノを保護する理由や必要は何ら見出せませんから、こういった「厳罰化」は多くの国民により支持されるでしょう。
ただ、購入や単純所持を処罰する、ということになった場合、わいせつ物の購入や単純所持を処罰していない刑法のわいせつ物頒布等の罪との均衡は問題になると思います。

(わいせつ物頒布等)
第175条
わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。

また、意外と知られていない面がありますが、こういったわいせつ物等の取り締まりに際しては、購入者側から捜査の端緒をつかみ、捜査協力をさせた上で、より悪質な販売、頒布側を叩く、という手法が、従来は採られてきた面があります。そして、そういった手法は、より大きな悪を叩くという意味で、それなりに機能してきた、という面があると思います。
購入や単純所持が処罰されるようになれば、今以上に取引は巧妙化し、地下に潜伏することになり、購入者側からの捜査協力も困難となって、摘発が従来以上に困難になる恐れがある、ということも考慮すべきではないかという気がします。
厳罰化は大きな流れとして肯定するとしても、その手段・方法については慎重に検討し、実効性がある対策を講じることが肝要ではないかと思います。