消えゆく空の職人技 在来機引退、機関士も職種替え

http://www.sankei.co.jp/shakai/wadai/070106/wdi070106005.htm

航空機関士は、機長と副操縦士が座る操縦席の右後方で、壁一面を占める計器類、スイッチを操ってエンジンや燃料、与圧などを管理している。「わずかな異変に対して、原因を経験から類推していくことなどコンピューターにはまねできない」。日本航空航空機関士、山部義裕さん(54)は胸を張る。

昭和60年に起きた日航ジャンボ機墜落事故の際のボイスレコーダーにも、航空機関士が、冷静に意見を述べている場面が出てきます。機体に問題が生じるような緊急事態が発生した場合に、コンピュータが発達したとはいえ、操縦士2名だけで適切に対応しきれるのか、乗客の立場からは、やはり不安を感じます。
最近、たまたま書店で見かけて購入した

JALの翼が危ない

JALの翼が危ない

を読んでいて感じるのは、安全の確保とコストダウンが、常に強い緊張関係にあり、特に航空会社の場合、後者の圧力が強すぎると、極めて悲惨な破局へと一直線に突き進みかねず、その際に発生するコストは、安全を犠牲にしてちびちびとけちったコストとは比べものにならないくらい莫大なものがあるだろう、ということです。上記の日航ジャンボ機墜落事故が、日航による日頃の点検整備をより徹底すれば防げたかどうかは何とも言えませんが、事故後の莫大な出費と、点検整備の強化による出費を比較した場合、後者を相当強化していたとしても、その出費は前者に比べればわずかなものでしかなかったはずです。また、お金の面だけでなく、この事故により日航が失った信頼には計り知れないものがあり(正に「お金で買えない価値がある」でしょう)、それも含めて考えると、何をすべきか、すべきでないか、という答は自ずから決まってくると思います。
上記の書籍では、機内販売での売上にこだわる日航の姿勢などが批判されていますが、安全というものが、最も重要なサービスであり、それを達成するためには、他が(内容にもよりますが)犠牲になることはやむをえない、安全を絶対的に優先する、という、組織としての強い決意を固めるべきではないか、と思いますし、その点が明確になれば、機内で配布される飲食物の中身とか、機内販売で何が買えるか、などといった些末なことで客が離れていったりはしないと思います。>日航