靖国参拝「周辺国の視点を」 シンガポール・リー首相

http://www.asahi.com/international/update/0518/003.html?t5

日本の常任理事国入りを支持し、日本に好意的なシンガポール首相の指摘であり、傾聴に値すると思いました。シンガポールも、戦時中、日本軍による犠牲者を出しています。
私は、政治的な人間ではなく、首相の靖国参拝問題について、賛成とか反対といった確固たる考えは持っていませんが、最近、

回想の大西滝治郎―第一航空艦隊副官の述懐

を読んでおり、読みながら、首相の靖国参拝問題についても考えてみることがあります。
この本は、初の特別攻撃作戦を実施し、終戦時に自決した大西滝治郎について、副官であった門司氏が回想したものですが、特別攻撃隊員や関係者が、国のためを思い、一身を犠牲にして、日本の勝利のために賭けた、その心情がひしひしと伝わってきます。
そのようにして自らを犠牲にした人々が、靖国神社には祀られており、問題となっているA級戦犯も祀られているわけですが、そういった人々が、現在の状況について何か発言できるとすれば、特に、小泉首相に対して何か言えるとすれば、「私たちに対しては、靖国神社参拝という方法以外でも、何らかの形で手を合わせてもらえれば良いので、日本の国益周辺諸国との良好な関係ということも考えて行動して下さい。」と言うのではないかという気がします。なぜそう感じるのか、と言われてもうまく説明できませんが、そう感じます。
私は、戦場に散り戦火に倒れた人々に対し、深く哀悼する気持ちを持っており、そういった人々を追悼したいという小泉首相の姿勢自体は正しいと考えていますが、ここまで問題がこじれてくると、追悼の方法としての靖国神社参拝については、(私自身確信は持てませんが)再検討すべきではないかと感じますし、あまりにも頑なな姿勢をとることは、靖国神社に祀られている人々の真の慰霊にもならないかもしれない、などと、あれこれ考えながら、この問題を見ています。