バス転落の女児ひいた後続3台運転手、書類送検

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050509i113.htm

死因は転落時に全身を強打したことによる多発性損傷と判明しているが、県警は狭山市の運転手について、ひいた時には(中略)生きていた可能性もあったとして業務上過失致死などを適用。
他の2人は、人間をひいたとの認識がなかったとして道交法違反のみを適用した。

取材自体に問題があるのかもしれませんが、上記の理由は解せないですね。
業務上過失致死罪を適用する前提として、当然のことですが、過失が認定できること、行為と結果との間に因果関係が認められることが必要です。警察の認定では、過失が認定されたのでしょう。ただ、ひいた時に生きていた「可能性」程度では、刑事上の因果関係は肯定しがたいと思います。推測ですが、業務上過失致死罪の成立が認定された運転車両により生じた傷害に、生活反応が認められ、それ自体が致命傷でなくても、少なくとも死期を早めたという蓋然性が認められたのでしょう。
また、「人間をひいたとの認識がない」から道交法のみ、というのも、おかしな話です。人間をひいたという認識があろうとなかろうと、過失や因果関係など、業務上過失致死罪の構成要件に該当する事情が認められれば、違法性、責任を阻却する事情が特に認められない本件では、犯罪が成立するはずです。「人間をひいたという認識」は、業務上過失致死罪成立の上では求められていません。道交法しか認定されなかった運転車両が被害者をひいた際には、既に被害者が死亡していた蓋然性が高いと認定されたのではないかと推測します。
世間の注目を集めた事故でもあり、報道にあたっては、警察による認定を、もっときちんと伝えてほしいという気がします。