ひろゆき氏「開発者逮捕でP2Pネットワークの制御がしにくくなる危険も」

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2004/11/08/5301.html

先日の情報ネットワーク法学会の際の、「P2Pシンポジウム」に関する記事です。

ファイルローグ事件に適用された「カラオケ法理」
 しかし、著作権の権利者にとっては著作物が違法に配信される状況は好ましくなく、P2Pソフトによるものであればユーザーを特定することが困難なため、「サービス提供者に対する差止請求が可能だとする考え方もある」(上野氏)という。
その例として、著作権の侵害がサービス事業者の管理下で行なわれている場合には、その事業者に直接責任を問うことができるという「クラブ・キャッツアイ事件」の判例を紹介。クラブ・キャッツアイ事件とは、JASRAC著作権料を納めていなかった「キャッツアイ」というスナックがカラオケ機材を客に提供したとして、裁判所がスナックの著作権侵害を認めたというもの。通常の法理では、直接的に著作権を侵害したのはカラオケを歌った客だが、「店側が客の歌唱を管理していた点とカラオケを歌わせることで店側の利益につながる点で、店側が権利侵害の主体と判断された」(上野氏)という。
 こうした「カラオケ法理」の考え方がP2Pなどインターネット関連のサービスに適用された例として、日本MMOとJASRACなどが争った「ファイルローグ事件」やテレビ番組録画サービス「録画ネット」のサービス停止を挙げた。しかし、ピュアP2Pソフトについては、必ずしもカラオケ法理が適用できるとは言えないという。「中央サーバーを持たないピュアP2Pにおけるコンテンツの管理性や、それが無料サービスだった場合は、営業上の利益を認めることができるのか」と指摘した。
 次に、JASRAC著作権料を支払わないカラオケ店へ通信カラオケをリースしていたリース業者「ヒットワン」が、権利侵害行為を幇助しているとし「幇助行為を行なう者は侵害主体に準じる」と判断された「ヒットワン事件」に言及。上野氏によれば、大阪地方裁判所で出されたこの判決については賛否両論で、「否定的な意見を表明している東京地方裁判所の裁判官もいる」という。
 このほか、ホスティング事業者などが違法なユーザーにサービスを提供している場合、その事業者の施設も物理的に違法送信を行なっており、事業者自身も違法送信の主体であるという考え方を紹介。事業者がユーザーの違法送信を認識し、不作為により放置している場合は「(サービス提供者自体が)公衆送信を行なっていると見なすことができる」という。ただし、こうした考え方は「従来の裁判で採用されたことはない」と付け加えた。

上野先生のこの解説は、「はてな」問題を考える上でも、非常に参考になると思います。会場で聞いていても、わかりやすい説明であると感じました。
はてな」が、上野先生が紹介されている具体例の中の、どこにあてままるか、を考えてみると、おもしろいと思います。