日本でYouTube型サービスは成り立つか?

http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT10000001112006

それでは、プロバイダー責任制限法の要求する手続きを順守し、違法コンテンツの削除を行う限り、国内で動画投稿サービスを行うことは法的に問題がないといえるのだろうか。
この点で参考となるのが、いわゆるファイルローグ事件判決である。これは、ピア・ツー・ピア(P2P)技術、つまり管理サーバーを介さずユーザー同士で直接ファイルをやりとりする技術による音楽ファイル交換サービスを提供していた運営会社に対する著作権侵害が問われた事件だ。結論的には、直接ファイルを送信していない運営会社自身も著作権などの侵害主体になると認定した事件である。
そして同判決は、プロバイダー責任制限法の適用についても判断を下した。プロバイダー責任制限法には、サービス提供者自身が権利侵害情報(違法コンテンツ)の「発信者」となる場合には免責が受けられない(3条1項)、という例外がある。ファイルローグ事件の場合、ユーザーが音楽ファイルを直接送信しているため、形式的には運営会社は「発信者」ではない。
しかし裁判所は、「運営会社自体が違法複製ファイルを流通過程に置くことに積極的にかかわっている」として、免責が受けられないと判断したのである。つまり、形式的にはプロバイダー責任制限法の適用があるように見えたとしても、そのサービスの実態によっては保護されない場合があるということなのだ。

ファイルローグ事件については、以前、本ブログでも、拙いながらも検討を試みたことがあります。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041105#1099615972
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041105#1099657378
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041108#1099923588

YouTubeのような動画投稿サイトを、ファイルローグ事件の日本MMOと同一視はできないように思いますが(上記のエントリーで引用した判決文参照)、評価が伴うことであり、日本の場合、裁判官の多くがインターネットに疎く、かつ、嫌悪感を持っている面があるので、動画投稿サイトが日本MMOと同一の末路をたどる危険性を完全には否定できないと思います。
そうならないためには、少なくとも、サービス提供に伴って、上記の11月8日のエントリーで述べたような権利保護のための措置をきちんと講じておくことが不可欠でしょう。