winny弁護団に厳しい声も

http://www.faireal.net/

を、たまたま見たところ、winny弁護団の事務局長である壇弁護士のブログについて、厳しい評価が。

がーーーーん! 総アクセスが1000を超えてびっくりって……。「すごいアクセス数」って。決して悪口の意味ではないのだが、この感覚で Winny の弁護できるのか?

あまりのナイーブさに、逆に読者がショックを受ける。しかも「YahooBB からアクセスを繰り返していた人、さては、ドメインでネタをかましてきたのか?」って……。善い人なのだろうとは思うけれど、これが「ログに YahooBB という文字が並んでいた。ハッキングだと思う」みたいなレベルだとすると、こんな人にネット関連の弁護させて大丈夫なのか?

というより、検察も裁判官もそんな感じなのかと思うと、いたたまれない気がする。

もちろん、Winny 弁護団にはがんばってほしいと思っている。意地悪な書き方はしたくない。応援している。味方だ。が、応援したいということは勝ってほしいということで、だからこそ、敵戦力と味方戦力は関心事だ。プロキシについての(どこかで聞きかじった断片的知識に基づくのであろう)でたらめな理解といい、「バーナー」(バナーの間違い)といい、一ページ読むだけで、ネットに関しては赤ん坊であることが痛いほどあからさまに感じられ、これが味方、これが Winny 作者の最後のとりでと思えばこそ、不安を禁じ得ないのだ。

専門的、技術的知識の有無ではない。 Winny 弁護団の人がウェブログを作れば10万ヒットくらい行っても全然不思議でない、というウェブの住民なら誰でも分かる「空気」というか、当たり前の感覚がつかめていない、ということが心配なのだ。

「プロキシ」を「匿名化技術」と見るとしても、それを悪いことのように決めつけるひとが Winny の弁護をやるという感覚のずれ。(Freenet/Winny が匿名化の技術的実現にどれだけ努力をしてきたことか…。)そして「プロキシ」には企業・学校などからの正当な使い方が多い、ということが見えていないこと。どちらも、これと平行の視点でP2P関連の弁護をするとしたら、きつい気がする。

なかなか厳しいですね。確かに、この種の事件を担当するにあたっては、インターネットについて詳しければ詳しいにこしたことはないですが、法律家は、あくまで法律家としての切り口で物事を見て行くもので、技術面など、足りないところは、専門家の助力を得れば、何とかなるものだと思います。
むしろ、大切なのは、上記の「切り口」をどこで見出すかでしょう。
検察官は、証拠に基づいて、検察官なりの切り口で、被告人は著作権違反幇助罪で有罪であると攻めてくるわけで、そういった「検察ストーリー」に対し、まったく別個の切り口で、「この事件は、本当は、こう見ないといけないんですよ。」という、被告人・弁護人のストーリーを確立して、それで徹底的に反撃しないと、無罪を取ったりはできません。
話はやや飛びますが、冤罪事件として有名な財田川事件を長年担当した矢野弁護士は、裁判官としてこの事件の再審請求を担当し、無罪を確信して裁判官の職をなげうって弁護士に転じ、再審請求を担当しましたが、無罪判決を聞くことなく、なくなっています。

http://members.aol.com/Tetsu220/108.html

無罪を取るというのは、それだけ大変なことです。
私は、先日の東京電機大学でのワークショップの際にも話したように、今回の刑事裁判は、今後の日本における著作権法違反事件(刑事)の動向に大きな影響を与えるほどの、重要事件であると位置づけており、winny弁護団が、どこまで検察ストーリーに対抗できるものを打ち出せるか、重大な関心を持って見守っています。