再審審理を差し戻し 袴田さん釈放も継続へ

再審審理を差し戻し 袴田さん釈放も継続へ(日本テレビ系(NNN)) - Yahoo!ニュース

最高裁は決定の中で「血液の色合いに影響を及ぼす要因である、みそと血液の化学反応に関する専門的知見について審理を尽くしていない」と指摘。「専門的知見等を調査するなどした上で、付着した血液の色合いが1年以上みそづけされていたとの事実に合理的な疑いを差し挟むか否かについて判断させる」として審理を差し戻しました。

 静岡地裁の再審開始決定を覆した東京高裁決定の際に、私は、

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強い批判は浴びていますが、確定判決をなぞっているだけに、高裁決定の理由にはそれなりに強固なものがあり、最高裁でさらにこれが覆る可能性は、私はそれほど大きくはないのではないかと感じています。
再審請求人、弁護団としては、「疑わしきは被告人の利益に」の観点から、本件の証拠構造が、実は、脆弱な個々の証拠から成り立っていることをきめ細かに特別抗告審で訴えていく必要があるでしょう。

と述べたのですが、再審を開始すべきという少数意見はあるものの、今回の最高裁の決定は審理不尽を前面に出していて、再審開始、不開始、いずれの方向にも踏み込んではいないものになっているようです。

 ただ、上記のような点を敢えて挙げて差し戻しているということは、それなりの疑問を最高裁が持ったことを意味していて、再審を巡る攻防は今後も熾烈に展開されることになります。

昔、有名な冤罪事件である財田川事件で、審理に関与した裁判官が決定書で、財田川よ、心あらば真実を教えて欲しい、と書いたものでしたが、袴田事件の真相も深い闇の中に包まれている感があります。