ドラマ「落日燃ゆ」

http://www.tv-asahi.co.jp/rakujitsu/

昨夜、テレビ朝日で放映され、録画しておいて後から観るつもりでしたが、すぐに観たくなり観てしまいました。昨年、

広田弘毅―「悲劇の宰相」の実像 (中公新書)

広田弘毅―「悲劇の宰相」の実像 (中公新書)

を読んで、城山三郎が「落日燃ゆ」で描く広田弘毅像と、実際の広田弘毅との間に落差を感じ考えさせられるものがあったので、観たいという気持ちが強くなったのかもしれません。
ドラマのほうは、当然ですが、原作に忠実に、広田弘毅を軍部に抵抗した平和主義者、それにもかかわらずA級戦犯として文官唯一、死刑を執行された悲劇の宰相として描いていて、まとめ方がうまく、飽きずに最後まで見ることができました。ただ、時間の関係と思いますが、原作ではかなり描かれていた広田弘毅の不遇な前半生がカットされていて、そこは残念な気がしました。
観終えて改めて感じたのは、広田弘毅を単なる悲劇の宰相と見るのは表面的に過ぎ、優柔不断さや毅然とした態度が取れずに流されるまま流されていた面は厳しく批判されるべきではあるものの、やはり死刑というのは重すぎた、ということでした。

広田弘毅に対する評価
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080831#1220179205

献金はみかじめ料? 政・業の癒着構造

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090315-00000559-san-soci

特捜部の事件に関する産経新聞の存在価値というのは、法廷ライブで克明に法廷の様子をアップするので速記録が出来上がる前に法廷の様子がざっとわかって便利だったりすることと、取材力の無さを特捜「筋」に全面的に依存し記事にすることで、特捜部の描いているストーリーが何となくわかる記事が出来てくる、ということでしょうね。お金を出して買うほどの価値はないと思いますが、ネットで「ふーん」という感じで読むには便利です。この記事は、上記のうち後者の部類に属するものでしょう。

「業界では、小沢事務所に受注の邪魔をされたくないから競って献金するし、選挙の応援もする。献金は保険みたいなもの。一種のみかじめ料といってもいいかもしれない」
みかじめ料とは、“暴力装置”が飲食店などから徴収する用心棒代のことだ。
建設業界は度重なる談合の摘発や公共工事の減少などで弱体化し、そこに政治家側が付け入って幅広くカネを徴収する−。両者の微妙なバランスを示す象徴的な比喩(ひゆ)といえる。

実態がこの記事通りかどうかはわかりませんが、少なくとも、特捜部がそういった絵を描いて切り込もうとしている可能性は高いでしょう。最終的に違法と判断されるかどうかはともかく、小沢氏による政治資金の集め方が、昔の手法を現代的に変容させたもので、変容はさせているものの旧弊を引きずっていた、という可能性は指摘できるでしょう。民主党政権樹立を目前にして、特捜部がそこに目を付け、最後の機会と考えて、敢えて切り込んで来た、という構図は十分考えられます。
特捜部は、証拠がないのに「やれ」と言われて無理矢理動くほど安易、安直な組織ではなく、かといって、偉い(?)元特捜部長などがのたまうように、ただ証拠だけ見て厳正中立に動くほど純粋無垢な組織でもなく、といったところが実態に近いのではないか、という気がします。

「○○罪」「○○法違反」も手軽にひける“犯罪事典”を刊行

http://www.atpress.ne.jp/view/10465

罪と罰の事典-「裁判員時代」の法律ガイド

罪と罰の事典-「裁判員時代」の法律ガイド

私が監修した本ですが、こういった形でプレスリリースができるとは知りませんでした。便利になったものです。長嶺さんの力作ですので、興味ある方はお買い求めください。

police:神戸で職質を受けると、こうなる

http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2009/03/police-fc78.html

町村教授ブログで紹介されていたので、見てみました。若干、編集もされているようですが、感想を一言で言うと、ひどいな、ということでしょうね。もちろん、警察官が、ということです。
まず、良くないと思うのは、あまりにも威圧的すぎて、これでは質問されるほうも、質問に答えようという気が起きないでしょう。肖像権がどうのこうのと警察官が居丈高に言っていましたが、街頭で職務執行中の警察官が(だからこそ警察官も言っているように警察官職務執行法が適用されるわけですが)、肖像権をどこまで主張できるかというと、かなり怪しいものがあると思います。肖像権を十分に主張したいのであれば、警察官などやめて、民間人として生きて行くべきでしょう。
映像の中で、警察官が、「挙動不審だから」などと言っている場面がありましたが、単に「挙動不審」だけでは、職務質問の要件を満たしません。同法2条1項では、

警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

と定められ、「何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者」でなければならず、挙動不審なら誰でも停止させて質問できる、というわけではないことに注意する必要があります。
職務質問というものは、あくまで任意で行うもので、それだけに、技術を要する面があって、警察でも職務質問の技術を競う大会を開いたりもしていますが、こういった稚拙な職務質問というものは、一種の反面教師として警察内部でも参考にされるべきではないか、という印象を受けました。

「バンキシャ!」誤報で日テレの久保社長、引責辞任

http://www.asahi.com/business/update/0316/TKY200903160270.html

昨年11月23日の放送で、匿名の男が岐阜県の土木事務所で架空工事を発注し、裏金作りが引き続き行われている、などと証言した。しかし、岐阜県が調査したところ、こうした証言が「虚偽」だったことが分かった。

ガセネタに引っかかって、ここまで深刻な事態になるというのは珍しいでしょう。最近では、ライブドア事件絡みで、民主党が引っかかってしまった偽メール事件が思い出されます。
欧米では、報道機関が社内に弁護士を常駐させ、必要なアドバイス等を行う体制になっているケースもあるようですが、日本でも、今後、徐々にそういった方向へと進むのかもしれません。ただ、単に弁護士であれば良い、というわけではなく、必ずしも弁護士である必要もないと思いますが、事実を見る目を持った者が慎重にチェックする、やばいと思った場合はきちんとブレーキがかけられるだけの地位、権限を持っている、ということは必要でしょう。