凍結坂道を車滑走70m、女児2人重軽傷…通行止め無視

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090202-00000059-yom-soci

発表では、ワゴン車は坂道頂上の丁字路交差点で、一時停止の標識に従って停車し、再発進しようとした時にスリップし、スピンしながら後退。ガードレールに衝突しても停止せず、はずみで反対側を下っていた女児をはねた。市立多賀城小3年(9)が左鎖骨を折る重傷、同小2年(8)が頭と肩に打撲傷を負った。
同署と多賀城市によると、坂道は約150メートルで平均勾配(こうばい)12%。頂上付近の勾配は30%の急斜面で、住民らは、象の鼻にたとえて「マンモス坂」と呼び、凍結すると危険な坂として注意をしていたという。

最近、北関東方面へ接見に通っていて、現地でタクシーに乗ると、運転手がいろいろと話す中で、凍結している道路での事故の話がよく出て、危険なものだということを強く感じています。私は、今のところ、幸いにしてその種の事故にあったことはありませんが、一旦、凍結した道路で車が滑り始めるとなかなか止まらない、ということが、上記の記事からもよくわかります。記事では「スピンしながら後退」とありますが、私自身、大学生当時、徒歩で通学途中に、早稲田大学文学部キャンパスの横にある坂道で、凍結が原因でスピンする車を間近で見たことがありびっくり仰天したことがありました。幸い、事故には至っていませんでしたが、見るからに危険な状態であったことが思い出されます。
地域にもよりますが、まだ寒い日が続きますから、この種の事故に至らないよう、十分な注意が必要であると痛感します。

1月新車販売:27%減 落ち込み過去最大

http://mainichi.jp/select/today/news/20090203k0000m020077000c.html

単月としては、第1次石油危機の74年5月(45.1%減)に次ぐ史上2番目の減少幅。販売台数も1月としては72年以来の低水準だった。世界景気の悪化を背景に、新車販売は歴史的な低迷が続いている。

特に、トヨタのレクサスは57・7%減

私は、ビジネス誌としては日経ビジネスを定期購読していますが、同誌の最近の記事でも、日本でも欧米でも車が売れない、ということが繰り返し報じられていて、その種の記事の見出しを見るだけで、わかったからもういいよ、聞きたくないよ、という気分になってしまっています。
最も大きな原因は昨年後半以降の未曾有の大不況ですが、それだけではなく、人々のライフスタイルの変化、車に対する思い入れの低下、耐久性の向上により買い替えの頻度が下がっていることなど、様々な要因が積み重なって、そこに未曾有の大不況がとどめを刺してしまったように思います。
私が読んだ記事では、BMWから軽自動車への買い替え、といったことをしている人もいるとのことで(それで困ることは何もなさそうです)、特にレクサスに代表されるような高価な高級車は、今後、ますます売れなくなり壊滅状態になることは確実と思われます。
どの業界でも、お金持ちからたんまりとお金をもらい左うちわで暮らす、ということは困難になり、細かい、少額の仕事であってもこつこつとこなし、確実に売り上げて行くということをしないと生き残りは難しい、という状況が、今後、しばらく続きそうです。そこは弁護士業界も例外ではないでしょう。

保釈金に没収保全命令…「賭博の収益」と認定

http://www.zakzak.co.jp/top/200902/t2009020250_all.html

道警によると、保釈保証金計1500万円のうち1200万円が「犯罪収益」と認定された。没収は刑事裁判の判決確定後になるが、保全命令を受けた財産は自由に処分することができなくなる。

保釈保証金は、弁護士が預かり裁判所に納付することがほとんどであり、こういったケースを見ると、改めて、弁護士としても保釈保証金の性質を慎重によく見て臨まないと、犯罪収益に情を知って関与していることになりかねない、ということを強く感じます。
その意味で、弁護士に対しても警鐘を鳴らすものという印象を受けました。

事務員に賃金払わず暴行 「行列」弁護士を業務停止2カ月

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090202/crm0902022156027-n1.htm

ボ2ネタ経由で知りました。

弁護士が解決金を含め計500万円を支払う調停が成立しており、県弁護士会懲戒委員会はこの調停を基に処分を判断した。

17年1月から約1年間、タイムカードに実際より短い勤務時間を入力させられたほか、16年3月ごろから少なくとも7回、頭を分厚い本でたたかれたり、左ももを足でけられたりして軽傷を負った。

事実関係に争いがあるようですが、法律事務所の賃金不払トラブルは時々耳にすることがあるものの、弁護士が事務員に暴行まで振るうというケースは、さすがに珍しいと言えるでしょう。
私の場合、元々、わがままで自分勝手なところがあると思い今でも反省することがありますが、検察庁という組織に11年余り身を置いたことで、協調性とか忍耐力といったことが、ある程度身についたような気がしています。弁護士の場合(弁護士に限りませんが)、若い時から先生、先生と奉られ、自分で事務所を経営すれば「俺様化」しがちで、常に自分を見つめ謙虚に身を処さないと、こういったところでも大きな落とし穴に落ちるということになりかねないのかもしれません。

京都弁護士会:弁護士を懲戒戒告 被告の否認を無視 /京都

http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20090129ddlk26040554000c.html

弁護士は05〜06年、京都地裁で開かれた道路交通法違反など3事件の国選弁護人を受任。道交法違反(スピード違反)事件では被告が一部否認しているのに、「機械による(スピード)測定で、機械の故障は考えられない」と述べた。さらに公務執行妨害事件では被告が「ネクタイをつかんでしまった。引っ張っていない」と争っているのに、「『引っ張る』行為には該当するが、非常に軽微なもの」と主張。被告の意向を確認せず、検察側が提出した証拠すべてに同意し、被告人質問の実施も求めなかった。他に横領事件でも同様に故意を否認する被告の意向を無視するなどした。
06年7月、地裁の通報で発覚。

こういった「不適切弁護」は、国選事件で時々問題になりますが、被告人が争っている事件で被告人質問の実施も求めない、というのは不適切さが際立っていますね。これだけ不適切弁護を繰り返していては、京都地裁も通報さざるを得ないと考えたのでしょう。ここまでやって戒告、というのは、処分として軽きに失しているのではないかという印象を受けます。
国選弁護の場合、弁護士が玉石混交状態で、質の高い弁護活動をする人もいれば、上記の記事にあるような不適切弁護をする人もいます。常識に照らしておかしい、と感じた場合は、裁判所や弁護士会に早めに相談して適切に対応してもらうようにすべきでしょう。
この種の不適切弁護が問題となったケースではありませんでしたが、かなり前に、国選弁護人と被告人が不仲になって公判が紛糾しているという事件で、2人目の国選弁護人として選任され、実質的には私が代わって弁護にあたった、ということがありました(通常はそういう取り扱いはなされず、かなり特殊なケースです)。
なかなか気難しいところがある被告人でしたが、静かな環境でじっくり話をしたほうが良いと思い、東京拘置所に頼んで土曜日午前中に接見を入れ(思い返すと古い拘置所の当時でした)、じっくりと話を聞いて、被告人の納得を得た上でその後の弁護を行い、執行猶予が付くかどうか微妙な案件でしたが、関係者の協力もあって執行猶予が無事ついた、ということがありました。弁護士になって、まだ、それほどたっていない頃でしたが、やはり被告人とよく話をして弁護活動を進めることが大切であると感じたことが思い出されます。

<名誉棄損>「ネットに判決文掲載」と提訴 長崎の医療法人

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090203-00000026-mai-soci

組合は08年6月29日〜同年7月29日、組合ホームページ上に同年6月26日に福岡高裁が出した、損害賠償と懲戒処分無効確認を求めた控訴審の判決文を、当事者名や個人名などを伏せずに全文掲載したとしている。
医療法人は「患者や家族が同病院での治療に不安を覚えることは確実で、病院の名誉や信用が棄損されることは明らか。民事裁判が公開されているとはいえ、一線を画する違法な行為」としている。

珍しいケースですね。結局、名誉棄損に関する通常のルールに照らして判断されるしかないと思いますが、組合としては、公益性や公共利害性を主張し、かつ、裁判所により認定された事実ということで、真実性や少なくとも真実と信じた相当性を主張するはずであり、その上で名誉棄損に該当するという判断は出にくいのではないかと思います。
ただ、ネットの時代になり、判決文がネットで公開されることで迷惑しているという人はかなりいるので、この点について裁判所の判断が示されることになれば、影響は大きいでしょう。

遠藤周作「沈黙」の米映画版に豪華キャスト マーティン・スコセッシ監督が10年あたためた意欲作

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090203-00000002-vari-ent

「沈黙」は、17世紀の長崎を舞台に、日本人信徒たちに対するキリシタン弾圧の渦中に置かれたポルトガル司祭の苦悩を通して、信仰の意義を問うストーリー。スコセッシが10年以上にわたり、映画化を熱望してきた素材だ。

「沈黙」については

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050501#1114937218
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060812#1155343334
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080202#1201925787

でコメントしたことがありますが、神や信仰といったことについて深く考えさせる素晴らしい作品であると思います。最近、江戸時代の殉教キリシタン福者に列せられ、日本における殉教キリシタンが世界的にも高く評価されている状況がありますが、映画化の背景にはそういった事情もはたらいているように思われます。
以前、長崎へ行った際に、

遠藤周作文学館
http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/endou/

にも行きましたが、そこにある「沈黙の碑」にも書かれた碧い海が印象的で、遠藤周作、沈黙のファンにとっては必見の施設であると感じたことが思い出されます。

<インサイダー>村上世彰被告に猶予付き判決 東京高裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090203-00000055-mai-soci

門野博裁判長は、懲役2年、罰金300万円、追徴金約11億4900万円とした1審判決(07年7月)を破棄し、懲役2年、執行猶予3年、罰金300万円、追徴金11億4900万円を言い渡した。村上元代表は1審に続いて「違法性の認識は全くなかった」として無罪を主張していた。
村上元代表は04年11月、ライブドア元社長の堀江貴文被告(36)=別の証券取引法違反で1、2審実刑、上告中=らから、ニッポン放送株の5%以上を買い集めることを決めたとの伝達を受け、公表前の05年1月までに計193万3100株を約99億5000万円で買い付けたとして起訴されていた。

有罪判決が維持された理由とともに、実刑判決が破棄され執行猶予が付された理由についても、強い関心がありますね。まだ、判決理由がわかりませんが、わかり次第、私なりにコメントしておきたいと考えています。
以前、

村上被告に懲役2年、追徴金11億4900万円・東京地裁
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070719#1184808345
村上ファンド事件1審判決・残る法律上の問題点(日経産業新聞の記事に関連して)
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070722#1185033915

とコメントしたことがありますが、そのあたりについて、どのような判断が示されているのでしょうか。
堀江氏は、上告中とはいえ一審も控訴審実刑、村上氏は控訴審で執行猶予と、明暗が分かれた、その背景にも興味を感じます。

追記:

法廷にいた人を通じて、判決速報のようなものに接することができ、一通り読んでみましたが、とりあえずの感想は以下の通りです。
1 上記の判決時のエントリーでコメントしたような「決定」の意義、本件においてそのような決定に至った時期について、意義については、

決定に係る内容(公開買い付け等、本件でいえば、大量株券買集め行為)が確実に行われるという予測が成り立つことまでは要しないが、その決定はある程度の具体性を持ち、その実現を真摯に意図しているものでなければならないから、そのためには、その決定にはそれ相応の実現可能性が必要であると解される。その場合、主観的にも客観的にも、それ相応の根拠を持ってそのよう実現可能性があると認められることが必要である。

として、原判決の「決定については、機関において公開買付け等の実現を意図して行ったことを要するが、それで足り、実現可能性が全くない場合は除かれるが、あれば足り、その高低は問題にならない。」という判断よりも限定して捉えています。この点は原判決がかなり批判を受けてきたもので、高裁判決で軌道修正が図られたものと言えます。その上で、そのような意味での決定が存在したかどうかについて、高裁判決では、原判決が、平成16年9月15日の時点で堀江氏らが被告人からの説明を受け機関決定したという認定をしているのは、この時点では可能性の検討の端緒に留まるとして、一般投資者の投資判断に影響を与える程度の決定があったとは言えないとしています。
しかし、その後、同年11月8日の会議の段階までに検討が進められ、「堀江氏らが11月8日の会議設定につき了承を与えた時点においては」決定があったと言うべきであるとしていて、決定の成立時点を原判決よりも遅く認定していることがわかります。この点、原判決には事実誤認があるが、判決には影響を及ぼさない、と結論付けられています。
2 上記の判決時のエントリーでコメントした「機関」による決定と言えるか、伝達されたか、被告人に故意が認められるかについては、原判決の判断が踏襲されています。
3 注目されるのは、量刑に関する判断で、ここで、おそらく弁護人の控訴趣意に一定の理解を示したことで、執行猶予を付し、法人の罰金額を減額するという結論に至っています。
 高裁判決では、被告人の刑事責任が重いということを指摘しつつも、私なりにまとめてみると

① 村上ファンドが持っていた「物言う株主としての側面」の経済社会における評価には成熟した議論がなされておらず、そういった企業活動の一面のみを捉えてこれを量刑事情として取り込むことには慎重であるべきである
② 平成16年11月8日以降、平成17年1月6日までは、従前からの方針(戦略)に基づいて被告人は動いており、ライブドアから得たインサイダー情報をことさら利用する意図はなく、当初は、インサイダー情報であるとの被告人の認識自体も強いものではなく、そのような認識状況の下で購入したニッポン放送株が、起訴にかかる購入株の大きな部分を占める
③ 上記のような「決定」に関する判例の蓄積が多くなく解釈についても諸説ある中で、被告人が、もっと具体的な情報でなければインサイダー情報には該当しないと解釈し行動していたことにつき、すべてを被告人の責任とするのはやや酷である

といった事情を指摘した上で、

④ 被告人が社会的に強い非難を浴びてファンドを解散し株取引の世界から身を引き、前科もないこと等の被告人にとって酌むべき事情

も併せ考慮した上で、原判決を破棄し、執行猶予を付し、法人の罰金額を減額しています。
原判決が、物言う株主としての村上ファンドの活動自体にかなり批判的な姿勢を示していたのに対し、高裁判決は上記①のように慎重な態度で臨み、かつ、インサイダー情報であるという被告人の認識や利用意図についても、1月6日までとその後を分けて考え、上記②③のような事情を十分酌んでいるのが特徴的です。上記②③のような事情があるということが、そのような事情があるようには考えにくい(高裁までの有罪判決を前提とする限り、ですが)堀江氏とは大きく異なり、そこが実刑と執行猶予を分けたということが言えるかもしれません。
印象としては、弁護人が無罪主張の理由としたところが、無罪という結論には結びつかなかったものの、量刑判断において大きく生きていて、主張が無駄にならなかったということが言えるように思います。
被告人は上告したということですが、判決としては、原判決の問題点が巧みに是正され、「決定」の意義についても、上記の通り最高裁判例とも整合しつつ常識的なところに落ち着いていて、これが最高裁で覆るのはかなり困難ではないかという印象を受けます。
先日、

ライブドア・ショックから3年--相場復活を期待する声高まる
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090117#1232150240

で、

過渡期、転換期であっただけに、法の網にかかってしまった人や組織(ライブドア関係者のような)と、そこからすり抜けてしまった人や組織が出てしまった、ということも言えるでしょう。その意味で、前者が、後者を捉えて不公平感を強く持つのも無理からぬ面があり、従来は執行猶予がつくことがほとんであったというこの種事件の量刑相場が、躊躇なく実刑判決を宣告するという形に大きく踏み出したということについても、上記のような時期、事情の中の事件に対するものとして、果たしてそれで良かったのかという疑問を生み、そういった疑問は、今後も指摘され続けて行くのではないかと思います。

とコメントしましたが、今回の高裁判決の、特に上記の①②③のような点を見ると、高裁なりに、そのような疑問、批判にも留意しつつこの事件を慎重に検討したのではないかと感じさせるものがあります。
村上氏としては、有罪認定には不満であるものの、この高裁判決が最高裁で量刑不当を理由に破棄され再び実刑になる可能性はほぼありませんから、服役の可能性がなくなって、ほっと一息ついていることでしょう。
おそらく堀江氏は(多分、宮内氏も)大いに不満でしょう。捜査、起訴したのも判決を書いたのも私ではないので、堀江氏には、また落合弁護士が、などと言わないでほしいと思いますが、このエントリーを読むと怒りがますます増すかもしれませんね。