http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20090129ddlk26040554000c.html
弁護士は05〜06年、京都地裁で開かれた道路交通法違反など3事件の国選弁護人を受任。道交法違反(スピード違反)事件では被告が一部否認しているのに、「機械による(スピード)測定で、機械の故障は考えられない」と述べた。さらに公務執行妨害事件では被告が「ネクタイをつかんでしまった。引っ張っていない」と争っているのに、「『引っ張る』行為には該当するが、非常に軽微なもの」と主張。被告の意向を確認せず、検察側が提出した証拠すべてに同意し、被告人質問の実施も求めなかった。他に横領事件でも同様に故意を否認する被告の意向を無視するなどした。
06年7月、地裁の通報で発覚。
こういった「不適切弁護」は、国選事件で時々問題になりますが、被告人が争っている事件で被告人質問の実施も求めない、というのは不適切さが際立っていますね。これだけ不適切弁護を繰り返していては、京都地裁も通報さざるを得ないと考えたのでしょう。ここまでやって戒告、というのは、処分として軽きに失しているのではないかという印象を受けます。
国選弁護の場合、弁護士が玉石混交状態で、質の高い弁護活動をする人もいれば、上記の記事にあるような不適切弁護をする人もいます。常識に照らしておかしい、と感じた場合は、裁判所や弁護士会に早めに相談して適切に対応してもらうようにすべきでしょう。
この種の不適切弁護が問題となったケースではありませんでしたが、かなり前に、国選弁護人と被告人が不仲になって公判が紛糾しているという事件で、2人目の国選弁護人として選任され、実質的には私が代わって弁護にあたった、ということがありました(通常はそういう取り扱いはなされず、かなり特殊なケースです)。
なかなか気難しいところがある被告人でしたが、静かな環境でじっくり話をしたほうが良いと思い、東京拘置所に頼んで土曜日午前中に接見を入れ(思い返すと古い拘置所の当時でした)、じっくりと話を聞いて、被告人の納得を得た上でその後の弁護を行い、執行猶予が付くかどうか微妙な案件でしたが、関係者の協力もあって執行猶予が無事ついた、ということがありました。弁護士になって、まだ、それほどたっていない頃でしたが、やはり被告人とよく話をして弁護活動を進めることが大切であると感じたことが思い出されます。