福知山線脱線事故でJR西の山崎社長を在宅起訴

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090708-00000597-san-soci

処分をめぐり焦点となったのは、JR西幹部らが現場で事故を予測できたかという「予見可能性」の有無だった。地検は現場カーブにATSがあれば事故を防止できたと判断。その上で、平成8年12月に半径600メートルから304メートルに付け替えた際、緩いカーブから急カーブに付け替える工事は異例で、さらに完工の直前にJR函館線で、同様のカーブを速度超過で走行した貨物列車が脱線する事故が発生していたことを重視。山崎被告は社内会議で「ATSがあれば(函館線の)事故は防げた」との報告を受けており、危険性の認識があった結論付けた。
山崎社長は当時、安全対策における全責任を負う立場の鉄道本部長で、その前には安全対策室長(当時)も務めていた。地検はATSに対する知識が十分にあったにもかかわらず、函館線の事故を認識しながら現場カーブに設置する判断を下さなかったことが業務上過失致死傷罪の要件を満たしていると判断し、起訴に踏み切った。

具体的な証拠関係に接していないので、あくまで感想にとどまりますが、かなり思い切った過失認定という印象を受けますね。ATSを設置していればより安全、という場所は、他にもかなりの数あったはずであり、その中で、特に、敢えて、この事故現場にATSを設置すべき注意義務の有無、ということが、今後、公判で激しく争われることは確実でしょう。その根拠として、上記の記事にあるような工事の異例性や、函館線の事故のみで足りるのか、あるいは、他にも根拠となるものがあるのか、さらには、JR西日本の社内で、そういった事情がどこまで検討されていたか、といったことにも、強い興味を感じます。
折しも、最近、某放送局から、ある著名な事故(福知山事故ではなく)を巡り、過失犯捜査の在り方などを含め、いろいろと聞かれたところで、まだ未定ですが、番組中で私がちらっと登場する可能性もあって、その意味でも、今回の起訴には強い関心を抱かずにはいられません。
「市場検察」だけでなく、この種の特殊業過事件に対しても、果敢に切り込んで行く「過失に強い検察」が目指されているのかもしれず、従来の発想だけでこの種の事件を見て、この程度なら起訴されないだろう、などと検察庁を見くびっていると大変なことになるという、そういう時代になりつつあるのかもしれません。