「源氏将軍断絶 なぜ頼朝の血は三代で途絶えたか」

 

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の監修者による著書で、ドラマでも源実朝が登場しているので、読んでみました。

源実朝というと、和歌にばかり熱中した暗君、鶴岡八幡宮の大銀杏のそばで暗殺された悲劇の将軍、といった漠然とした印象しかなかったのですが、この本を読み、それは吾妻鏡的な刷り込みによるもので、政治にも熱心な上、朝廷との良好な関係を目指した意欲的な将軍であったことがわかり、良い勉強になりました。暗殺されなければ、その後の北条氏による独裁的な執権政治もなかったかもしれず、暗殺というものが歴史に大きな影響を与える場合があることを改めて感じました。

源頼朝には、幾人も男子の子、孫がいたにもかかわらず、三代で途絶えてしまった、その原因としては、頼朝の猜疑心の強さや親戚対策を誤ったことなど、いろいろあると思いますが、とかく相続で揉めがちな現代にも通じる普遍的な教訓がそこにはあるような気がします。

なかなか読み応えのある一冊でした。