本書は北海道新聞記者である著者によるもので、時間をかけつつ、念願の遺骨収集へ参加し、また、新聞記者としての取材力を発揮して様々な関係者にインタビューも行って、戦後の硫黄島の実態や、硫黄島に限らない遺骨収集活動が辿った歴史、直面している問題点なども幅広く取り上げていて、なかなかの力作であり、とても勉強になりました。
本書中、硫黄島に関する米国公文書館の資料を徹底的に精査、分析することで遺骨収集に大きな成果を上げたことが紹介されていて、今後、戦争中の関係者の記憶に依存できない状況においては、そうした客観的な資料の精査、分析が大きな力になるであろうことが強く感じられました。
戦陣に散り戦火に倒れた人々あってこその現在の日本国家、社会であることを深く胸に刻みつつ、効果的な遺骨収集を積極的に進めていくべきことを感じさせられました。