http://www.asahi.com/articles/ASH940FJWH93PTIL02D.html
この部屋ができたのは、2010年9月に発覚した当時の特捜主任検事(48)による証拠改ざん事件がきっかけだ。郵便不正事件で押収したフロッピーディスクの日付データを捜査の見立てにあうよう自らの手で書き換えていた。再発を防ぐため11年6月、大阪、東京、名古屋の各地検特捜部にDF室が置かれた。
司法界に激震が走った前代未聞の事件。その反省から本格的に始まったDF捜査は、特捜部の捜査手法そのものをがらりと変えた。
業者のパソコンに残る金銭の出納記録やメールの内容を解析し、立ち寄った飲食店や高速道路の領収書と突き合わせる。収賄側の供述では「昼ごろ」「自宅周辺」にとどまっていた授受の状況は、「午後0時43分」「自宅近くのファミリーレストラン」と詳細に判明した。
従来の捜査でも、こうした客観証拠はできるだけ収集して犯行状況をより具体的に解明するということは行われていましたが、参照するデータに限りがあり、粗く参考にして、あとは供述で特定する(あまり特定しすぎないように注意しながら)というやり方であったと思います。それが、今では、人が行動する上でその痕跡が客観的に残るところが激増していて、こうした専門部署での解析が不可欠になっているということでしょう。しかも、こういった作業を尽くしておかないと、後日、公判段階で弁護側の反証でこうした解析結果が提示され検察立証が破綻するということにもなりかねず、二重の意味で避けて通れないということになっていると思います。
記事でも出てくる大阪地検特捜部事件は、検事の不祥事という点がとかく強調されがちですが、従来の捜査手法(供述で事実関係を確定させていく)の行き詰まり、転換点で生じた事件という性格を持っていると言えると思います。
捜査にとって、なかなか厳しい状況になっているという印象を、記事を読み受けました。