神になりたかった男 徳田虎雄:医療革命の軌跡を追う

神になりたかった男 徳田虎雄:医療革命の軌跡を追う

神になりたかった男 徳田虎雄:医療革命の軌跡を追う

この本を読むまで、私にとって徳田虎雄氏のイメージは3つありました。1つ目は、高校生くらいの時に何かで読んだ、ものすごく努力して阪大医学部を卒業して医師になり画期的な医療を目指すパイオニア的な姿、2つ目は衆議院議員となり自由連合を率いる政治家の姿、3つめは公職選挙法違反で被疑者となった姿でした。それらの間が抜けていたのが、この本を読むことでイメージとイメージの間が線でつながり、徳田虎雄氏やファミリー、関係者の赤裸々な姿を垣間見たような気がしました。
特に印象的だったのが、草創期の徳洲会を支えていたのが、従軍看護婦経験者だったり、戦前、戦中を経て昭和を懸命に生きてきた、ごくごく普通の人々であったことで、日本の戦後の、特に昭和期の歩みと徳洲会の歩みの重なり、オーバーラップということを感じました。一つの時代が生んだものであって、時代が変わった今、もう、このような巨大医療グループが生み出されることはないでしょう。
関係者に丹念に取材したことが窺われる内容で、文章も読みやすく、お勧めの一冊です。