天皇陛下がお気持ちを表明(全文)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160808/k10010626811000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001

天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして、天皇の終焉に当たっては、重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き、その後喪儀に関連する行事が、1年間続きます。その様々な行事と、新時代に関わる諸行事が同時に進行することから、行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが、胸に去来することもあります。

午後3時からの天皇陛下のお言葉を、私は、事務所で仕事の手を止めて慎んで承りました。言葉の1つ1つが重く、考え抜かれたお言葉であることが強く感じられましたし、それだけに、国民として真剣に考えるべきものを感じました。
天皇陛下が、上記のように、「天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念され」と言われているのは、昭和の終わりにおける昭和天皇の御病状の悪化に伴う、日本社会における過度な自粛ムード、様々な悪影響を念頭に置かれていることは間違いないでしょう。退位すればそれが避けられるという単純な問題ではないものの、生前退位というプロセスを入れることで、「天皇崩御」という大きなダメージを緩和したいという思いは、当時を知るものとして強く理解できるものがあります。
今後は、天皇陛下のお気持ちを十分に踏まえつつ、皇室、皇位の在り方について速やかな検討を行って、改革すべきは改革することが急務だろうと私は感じています。