ヤフーとグーグル、どこで運命が分かれたか

http://jp.wsj.com/articles/SB11625300680616714172704582212322240146062

グーグルと異なり、ヤフーはそもそも人間の手によるキュレーション(収集・分類・公開)が原点であるため、テクノロジーにはそれほど根を下ろしていない。スタンフォード大の大学院生だったジェリー・ヤン氏とデビッド・ファイロ氏が1994年、黎明(れいめい)期のインターネットの世界で相互につながりもなく漂っていた数百のウェブサイトのインデックスを人力で作成したのがヤフーの始まりだ。彼らは同社のディレクトリーに追加してほしいというサイトオーナーの要望に応じるために数十人の従業員を雇い、ニュースや電子メール、チャットといった機能を増やしてポータルサイトとしての地位を築いていった。
一方、同じスタンフォード大の大学院生だったラリー・ペイジ氏とサーゲイ・ブリン氏は異なるアプローチをとり、グーグルを創業した。彼らはコンテンツを収集するためにインターネットを「はい回る」複雑なアルゴリズムを作成した。これは完全に自動化された手法であり、ヤフーのインデックスをすぐに追い抜いた。インターネットの利用が拡大するに連れて、グーグルはヤフーよりはるかに容易に拡大していった。

私がヤフージャパンで働くようになったのは2000年9月ですが、当時はまだ、記事にある「カテゴリー検索」(人が分類してリスティングした中から選択、閲覧)の全盛期で、ヤフー検索でヒットするようになれば売上が急激に上がったりするということで、そこに取り上げられるかどうかが大きな関心事であったものでした。どうすれば取り上げてもらえるかを指南するビジネスも盛んで、今のSEO対策前夜という状態にありました。
それが、インターネット上でのサイトが爆発底に増えて、人力による分類、リスティングでは追いつかなくなり、グーグルが提供するロボット検索の利便性、優位性が高まって、という流れになったのは周知の事実です。
と同時に、かつて「Web2.0」と盛んに言われた、ポータルサイトにおける一方通行の情報提供から双方向、ユーザーが主役となる(現在のSNSのような)流れへとなってきて、ポータルサイトとして一世を風靡したヤフーは、日本など一部の国を除いて、次第に凋落していったということでもあったと思います。
ポータルサイトというものは、日本ではヤフーがいまだに根強く、幅広く利用されていることから明らかなように、依然として根強く便利なものであり、そういった強みを生かしつつ世の流れにうまくついていけなかったヤフー(ヤフーインク)には残念なものを感じずにはいられません。
とはいえ、そのインターネットの歴史上において果たした役割は大きく、人々の、また私の記憶、思い出の中で長く生き続けることになるでしょう。