前編がかなり強く印象に残り、後編も期待して観たのですが、前編ほどの印象は残りませんでしたね。
(以下、ネタバレ注意)
原作同様、64模倣犯ではないかと疑われる誘拐事件が発生し、広報を警察庁キャリアの若い捜査2課長が担当しあまりにも情報不足でマスコミとトラブル続き、という場面が延々と続くのですが、一般の観客には、なぜこういうドタバタが繰り広げられるのか、わかりにくかったと思いますし、ドタバタばかりが目立って、作品のクオリティを落としていたように感じました。64の犯人と目された男性について、原作にはない、広報官がその男性の娘を預かっているなどと言って64の死体遺棄現場におびき出して追及するようなことまでやらせていましたが、いくらなんでも警察官ですから、やりすぎであり、そういった違法にも十分なり得る手法が後に悪影響を及ぼすことも十分考えられて、全く共感できませんでしたし、今時、こういう感覚で警察映画を作っているようではいかがなものかと感じました。
元々、原作が、誘拐で娘を殺害された父親が電話をかけ続けて誘拐犯を特定するという、現実的にはかなり無理がある設定になっていて、それはそれとして、64の犯人に対してお前が誘拐犯であると知らしめる、そこで物語を終えておくべきだったでしょう。余計なものを付け加えて、かえって作品のクオリティを下げてしまったのが惜しまれます。
とはいえ、作品としては力作と言って良いレベルで、原作を読んでいる人にもそうでない人にも楽しめる作品になっていたのは間違いなく、私も十分に楽しみつつ鑑賞できました。