殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

著者の清水さんから送っていただきました。ありがとうございました。昨年、最後に読んだ本でした。
清水さんには、これまで何度か取材を受けたことがありますが、他の記者にはない、情熱や迫力、切り込み方を感じるものがあって、活躍し様々な賞も受賞しているのもうなずけるものがあります。本書でも、足利事件等に対する清水さんの熱心な(執念の、とも言えるでしょう)取り組みの足跡が赤裸々に語られています。
足利事件の冤罪という側面が大きくクローズアップされるのは、その持つ重要性や深刻さから不可避ですが、一連の事件(同一犯人による可能性が高く「北関東連続幼女誘拐殺人事件」と位置づけるべきという著者の見解には私も賛成です)が未解明のまま現在に至っている、犯人(おそらくまだ生きている)が野放しになっているということも、深刻な問題でしょう。それに対する捜査当局の取り組みが不十分なまま推移してしまっていることも、本書では憤りとともに語られています。
残された闇の大きさや深さ、事件はまだ終わっていないということを強く感じさせられる、2013年の最後に読むに値する一冊でした。