カメラ映像見て証言は「不当」…裁判長指摘

http://www.yomiuri.co.jp/national/20151114-OYT1T50083.html

公判では、暴行の程度などが争点となり、警備員が当時の状況を証人尋問で証言した。判決は、警備員が事件当日の記憶が部分的だったのに、尋問の3日前に検察官との打ち合わせで見た映像で記憶を整理したと指摘。「自分の記憶か、映像を見て記憶が変わったのかを区別できず、証拠価値は非常に乏しい」と述べた。

刑事訴訟法上、公判での証人尋問で、主尋問(請求した側が行う最初の尋問)では原則として誘導が許されず、記憶喚起のためなど一定の場合に例外として誘導が許されるというルールになっています。尋問の準備段階での打ち合わせ(証人テスト)については、そういったルールが特に定められてはいませんが、打ち合わせにあたり記憶喚起のための誘導、情報提供を超えて過度なことが行われ、それにより「刷り込み」が起きたのではないか、元の記憶と刷り込まれた部分が区別できない、ということになれば、証言の信用性が否定されることは十分にあり得ることです。
こういった観点から、反対尋問では、証人テストの様子や問題のあるものではなかったか、といったことを聞くことがありますが、やはり、そういった点もきちんと意識して尋問に臨まなけれはならない、ということを改めて感じます。
過去にも、検察官が事前に何十回も証人テストを繰り返していたことが問題になったケースがありましたが、そういった「やり過ぎ」にも警鐘を鳴らす判決と言えると思います。