映画「日本のいちばん長い日」(リメイク版)

http://nihon-ichi.jp

8月8日公開で、早速、観てきました。少し前に、DVDで1967年の「日本のいちばん長い日」を観たばかりだったので、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20150805#p2

比較もできました。新作も、かなりの出来栄えでなかなか良くできていると思いますしたし、セットや俳優の演技に、かなり準備を重ねて時代考証を入念に行ったことがうかがわれました。
旧作に比べ、新作は、阿南陸相により大きく焦点を当てて作られていて、役所広司の演技が、伝えられているところの阿南陸相の誠実な人柄をうまく出していて好感が持てましたし家族との交流など心打たれるものがありました。ただ、その分、終戦へ向けての様々な動きを、旧作ほどは描ききれなかった面はあるように思われました(元々、盛りだくさんで描ききれないのは無理もないところですが)。特に、宮城事件については、やや中途半端な感じがあって、旧作を観ている人には特にそこが物足りなく感じるのではないかという気がしました。
とはいえ、旧作では描かれなかった(描けなかった)昭和天皇のリアルな姿が描かれていたことには、文献で読んで知っていても、映像で見ると強い印象を受けるものがありましたし、カラーではなく今となっては演出に古さを感じさせる旧作よりも格段に映像作品としては上をいっている新作には、やはり観て良かったと思わせるものがありました。
個人的に、山崎努が鈴木首相をどう演じるのか興味を感じていたのですが、見た目はあまり似ていないものの、何となく飄々とした、それでていて鋭い鈴木首相像をうまく演じていて、旧作の笠智衆とはまた違った鈴木首相を観ることができたのは良かったと思いました。
終戦派も徹底抗戦派も、日本という国を思っての「日本のいちばん長い日」であり、戦後70年の今日、彼らが再び立ち上がってほしいと願った日本になっているのかという自問自答は、私の中で今後も続くことでしょう。