可視化、検察独自捜査にも義務付け…法務省案

http://www.yomiuri.co.jp/national/20140616-OYT1T50071.html?from=ycont_latest

可視化については、法制審の「新時代の刑事司法制度特別部会」が議論。今年4月の部会では、容疑者を逮捕してから起訴するまでの全過程の可視化がおおむね了承される一方、対象事件については、事務局の法務省が、「裁判員裁判対象事件に限定」(裁判員案)と、「裁判員対象事件に加えて、容疑者が逮捕された全事件での検察官の取り調べ」(検察全件案)の2案を提示した。
しかし、裁判員対象事件は既に全件で可視化が試行され、件数も刑事事件全体の2〜3%しかないため、部会では弁護士の委員らが裁判員案に反対。警察・検察側の委員は「供述の内容が裁判で問題になる事件の多くは裁判員対象事件で、検察全件案では広すぎる」と主張し、議論は平行線をたどっていた。

既に、最高裁からは指摘されているようですが、検察官の裁量により録音・録画する事件、しない事件を選択し、しなかった事件で、後日、自白の任意性や信用性が争われることになれば、「裁量により録画・録音しなかった」ことが、「それをするとまずいのでしなかった」という推定へとつながる事態へと進む可能性が高いでしょう。そのような推定を、取調官の証言やそれに類するもので覆そうとしても、おそらく困難で、裁量が効く範囲はどんどん狭まることになる、そうであれば、思い切って、せめて身柄事件についてはすべて(どうしても実施が難しい例外を除き)取調べを可視化する、という方向が望ましく、もう、流れとしてはそうするしかないところまで来ているのではないかと思います。
検察庁での身柄事件の取調べが可視化されれば、警察での違法、不当な取調べがそこで供述として出てくることで、警察での取調べの適正さが担保されることも期待でき、まずは、そこに思い切って踏み込むことを真剣に検討すべきでしょう。