銀行の過失認めず 七十七銀行訴訟、「巨大津波の予見困難」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140225-00000559-san-soci

斉木裁判長は判決理由で、過去の女川町での記録上最大の津波が約4・3メートルだったと指摘。震災直後の午後2時50分に気象庁が「午後3時に高さ6メートルの津波が到達する」と発表していたことから、高さ約10メートルの2階建て支店屋上への避難指示には「合理性があった」と判断、「支店長が従業員を支店屋上でなく、町指定避難場所の堀切山に避難させていれば助かった」とする遺族側の主張を退けた。

前に判決があった、幼稚園バスを高台から海岸近くへ向かって走らせたことについて過失が認定された事件が思い出されますが、

「一刻も早く親元に」元園長の証言、判決で一蹴
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20130917#1379408849

それにつき、

積極的な作為を求める方向での注意義務、ということになると、確かに、あれだけの巨大津波を予想するのは一般人には困難である以上、過失を肯定するのは難しいのではないかと思います。しかし、本件のように、高台にある幼稚園であれば、その場にとどまることで(積極的な作為がなくても)巨大津波から園児は守れたもので、しかも、津波が来ることは情報として流れており、幼稚園のマニュアルではこうした災害時にはやってきた保護者に園児を引き渡すことになっていた、ということであれば、情報収集もせずマニュアルにも反して、わざわざ危険な海へ向かってバスを走らせた判断に、注意義務違反を肯定するのがむしろ自然かつ合理的、と言えるように思います。

とコメントした、正に「積極的な作為を求める方向での注意義務」がどこまで認めらるかが問題になったのが、この七十七銀行の事件と感じます。これについても、証拠を見ていないので印象論になりますが、高さ約10メートルの建物屋上への避難では不十分であり危険であると判断するだけの情報(抽象的ではなくそれなりに具体的な情報)が、当時、支店長にあったという認定がなされないと、そういった注意義務を肯定するのは困難ではないかと思います。亡くなった方はまことにお気の毒で、より高台に逃げるという判断があってほしかったとは思いますが、法的な責任、ということになると、結果責任ではない以上、判断枠組みとしてはそうならざるを得ないでしょう。
原告が控訴したとのことで、上級審での判断が注目されると思います。