双子死産のベトナム人実習生、死体遺棄罪の有罪見直しか 最高裁(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
被告は、技能実習生として熊本県の農園で働いていた2020年11月、自宅で双子を死産した。遺体をタオルに包んで部屋にあった段ボール箱に入れ、おわびの言葉などを書いた手紙も入れた。「妊娠がわかれば帰国させられる」と考えて周囲には相談しておらず、翌日に病院を受診して死産が発覚した。
今年1月の二審・福岡高裁判決は、一審の判断を一部修正した。死産から発覚までの時間が1日半ほどにとどまり、通常の葬儀と比べて遅すぎるとはいえないため、「不作為」は認めなかった。 ただ、「作為」にはあたるとして有罪を維持した。被告が遺体を段ボール箱に二重に入れ、テープで封をした行為が「遺体の隠匿にあたり、適切な時期に葬祭が行われる可能性を著しく減少させた」と判断した。
過去の判例上、葬祭義務者が死体を放置するような場合に不作為の遺棄が認定されていますが、葬祭義務を果たすべき時点以降の不作為が遺棄にされるべきで、どうしようかと迷いながら1日半経過した程度では、不作為の遺棄とは認定しにくいでしょう。
作為による遺棄とする高裁判決の論理にはいかにも無理があり、最高裁が高裁判決を見直すのは確実と思われます。
なお、軽犯罪法では、1条18号で、
自己の占有する場所内に、老幼、不具若しくは傷病のため扶助を必要とする者又は人の死体若しくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかつた者
を処罰するとしており、本件で、死体遺棄罪で無罪になっても軽犯罪法違反には問われる可能性があります。ただ、法定刑は拘留または科料ですから、微罪にとどまります。